長岡新聞:トップ
社主のプロフイール 
購読の申込みメールでOK。 1か月1851円です。
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』:詳しくはこちら
川柳、俳句、短歌に投稿しませんか:詳しくはこちら

愛縁奇縁
No.111:2015年度予算案を観る

〇政府は2015年度予算案を策定、1月12日公表した。これによれば一般会計は総額で96兆
3400億円。過去最大の規模で、景気対策を重視したとのことである。
税収は約5兆円増加するとして54兆5300億円を見込む。この分を原資にして、新規国債を4
兆3900億円減額して36兆8600億円にする。この結果、基礎的財政収支(プリマリーバラン
ス)は18兆円の赤字から13兆4100億円の赤字に縮小(改善)する。

〇歳出面では、高齢化に伴う社会保障費を1兆円増額して31兆5300億円。公共事業費は今
年度とほぼ同額の5兆9400億円。償還や利払いに充てる国債費もほぼ同額の23兆4500
億円になっている。
いわば、消費税などによる税収増5兆円を、赤字国債縮小に4兆円、社会保障費に1兆円を
向けた形である。

〇だが、予算は年度中に補正が行われるのが常である。過去最高という15年度一般会計は
どうなのか。本当に最高なのか。
実は14年度の当初予算に補正額を加えた額は99兆円になる。来年度に補正が行われないと
仮定すれば、今回の予算(案)は14年度を下回る。決して最高ではない。さらに09、11、13の各
年度では100兆円を超えている。つまり過去最高ではないのである。
財政再建を目指しながらも景気に配慮して過去最高などと、バラ色とは、とても言い切れない。
いわば中途半端にみえる。
予算案が国会に上程される頃は、補正予算の規模まで論議されそうである。

〇安倍政権はアベノミクスを高く掲げてデフレ脱却を狙っている。
そうしたなかで実施した昨年の消費税率引き上げは、GDPのマイナスを招来し、悲惨な状態
になった。もともと安倍政権が推進したわけでもない消費税率引き上げが、政権の足を引っ張
る事態が起きかけたのである。
だから10%への引き上げを延期し、選挙に打って出た。勝利を掴むことで財政再建論者の口
を封じた。こうした政治判断は的確だった。おかげで政権内部の意志に大きな混乱はない。
だが予算案は財政再建と景気回復の二兎を追っている。二兎ではなく第3の矢ともいうべき景
気対策にもっと注力しても良いのでないのか。もう少し思い切ってできなかったのか。

〇景気対策は喫緊課題である。地方創生関連予算だけでも約7200億円。国産酒類の活用
事業に5000万円、文化財総合活用戦略プランに84億円、障害者の就労支援58億円など約
180の事業が並ぶ。これらが経済の活力を呼んで欲しいものである。
アベノミクスという追い風のなかでも3%の増税がGDPのマイナスをもたらした。これを解消
し、デフレ解消を図らねばならない。想定以上の円安と原油価格の下落がある。不確定要素
は相変わらず大きい。(黄色い風見鶏)



記者を募集しています(0258−32−1933:星野へ) 
購読の申込みも同番号へ

トップへ
戻る



No.110:ドルの一人勝ち 強まる不確定要素
No.110:ドルの一人勝ち 強まる不確定要素