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長岡の民俗芸能を楽しむ
神楽舞の祭典が賑やかに
(2016.3.8掲載)
 長岡市教育委員会は2月21日、「第40回郷土民族芸能公演会」をアオーレ長岡市民交流ホ
ールAで開催した(主管=長岡市民俗芸能協会・亀山満雄会長)。
各地域で伝承されている民俗芸能には神楽舞や巫女爺(みこじい)踊りなど五穀豊穣、無病息
災などを祈願しての祭りが多い。いずれも村祭りなどに欠かすことができない味わい深い伝統
芸能で、各地域に連綿として伝わってきた。
同公演会では、市内に伝わる伝統芸能を担う8団体が出演。長岡地域からは雅楽の演奏や
手踊りが参加して、ひときわ注目を浴びていた。
地域に根付いた民俗芸能の演舞に大きな拍手が沸き起こり、来場者は長岡の文化の深さに
改めて感動していた。
 
合併地域と初めての企画

同公演会の初回は、昭和45年だった。このときは合併前のことでもあり、エリアは長岡地域だ
けが対象であった。市町村合併を機に、新長岡市全体として同公演会の開催になっている。
同協会会長の亀山満雄さんは「第1回以来各団体から協力してもらい、今年は40回を迎えまし
た。多くの人に支えられてきたと思います。合併した3団体も参加しての公演を存分にお楽しみ
ください」と40回の節目を喜んでいた。
 長岡市科学博物館館長代理の村山昭夫さんは、「以前は越後長岡文化の祭典を開催してい
た」とし、「今回から、合併地域のなかからもたくさん出ていただこうという企画になりました」と
いう。「長岡地区、合併地区の皆さんには、開催に向けての練習、準備等感謝申し上げます」
と感謝し、「伝統行事を守り、継承していただいておりますことは、たいへんなことでございま
す。こういう発表の場を機に、さらに発展して欲しいと思います」と伝統を担う出演者にエールを
送っていた。

8団体が伝統芸能を披露

同公演会の出演者は、「長岡神楽会」「本与板神楽保存会」「中野東神楽伶人会」「西楽寺吹
奏会」「長岡西地区神楽舞踏会」「親沢手踊り保存会」「巫女爺踊り」「瓜生御神楽保存会」の8
団体だった。

▽「長岡神楽会」代表中村光雄さん(87)=創立は明治13年。メンバーは20人ほど。笛や太鼓
を演奏し、演目は33以上もある。神話に基づく出雲の神様の劇舞もあるとのことで、今回はそ
のなかから「蝶舞」を披露した。
 同舞は、地方の神々があつまった際、神々をお慰めするために巫女たちが舞ったとされるも
の。蝶が野山の花の上をふわふわと楽しく遊んでいる姿を表現している。
「舞方」は宮島萌々香さん(小6)、大塚杏瑞(あんず)さん(小6)、西条桜楽(さら)さん(小5)、
佐藤心南(こなみ)さん(小5)の4人。4人は頭に天冠をのせ、蝶の羽を付けて、手には舞扇を
持って輪になりながら拍子に合わせてゆったりと踊った。可憐でかわいらしく、優雅な舞に大き
な拍手が湧いた。
「太鼓」は丸山芳美さん、山川成雄さんが演奏した。

▽本与板神楽保存会=毎年6月第2土曜日の村祭りに奉納する神楽舞のなかから、代表的
な「悪魔祓い」を披露した。天保10年より伝わる神楽舞で、天下泰平と五穀豊穣を祈り、御幣
(ごへい)を持って悪魔を払う舞とされている。
まず神楽獅子の風呂敷を広げて四隅を清め、御幣を持ちお祓いする。最後に獅子頭が大きく
口を開け、歯をかくかく鳴らして歯ぎしりをして悪魔を噛みつぶす神楽である。
17〜18年前に途絶えそうになった神楽舞を復活させたという。
大平林司(りんじ)さんと吉荒寛一さんが舞い、唄を森井寛一さん、笛を藤井敏良さん、太鼓を
大平喜一郎さんと大平博英さんがそれぞれ担当して会場を沸かせた。

▽「中野東神楽伶人会」=「福神遊の舞」を披露した。恵比寿様と大黒様が仲よく鯛を釣りあげ
る楽しい舞である。
大正11年に当時の部落有力者が、村づくりと人づくりのためには若者たちに希望を与えること
が大切との思いから、三条八幡神社より三条神楽の伝承を乞うたのが始まりという。
「舞方」は「恵比寿」の舞を小野敦巳さん、「大黒」を吉村隆行さんが、笛は鈴木健司さんと岩本
俊一さん、太鼓を中沢暁彦さんがそれぞれ演じた。
同舞は恵比寿様を事代主命(ことしろぬしのみこと)、大黒様を大国主命(おおくにぬしのみこ
と)とする舞で「恵比寿・大黒の舞」と呼ばれている。
物語は、大きな鯛を吊りあげるために、餌づけをしたり、釣りの邪魔をしたり、怒られたり、2人
で仲良く釣りあげた鯛を食べたりして、愛嬌に満ちた楽しい舞である。最後には、大魚のおす
そ分けをして、五穀豊穣を祈った。

▽「西楽寺吹奏会」=雅楽「越天楽(えてんらく)」「陪臚(ばいろ)」「ふるさと」を演奏した。幽玄
の世界が広がる美しい音色が鳴り響き、感動的だった。
雅楽は、昔は農村の長男だけしか教わることができなかった芸能で、冬の農閑期にあつまっ
て練習を重ねてきたとされる。古式にのっとった衣装が荘厳さをますます高め、観客を魅了し
た。

▽「長岡西地区神楽舞踊会」=「宮清の舞い」「大鉾の舞い」「眞榊の舞い」「シコメの舞い」の4
曲の大和舞を披露した。
同舞は江戸時代、出雲地方から刈羽郡西山石地の石井神社に伝道された舞である。小熊光
雄さん、村越哲朗さん、青柳敏弘さんが舞いを演じ、笛を矢尻昭一さんと中村俊一さん、太鼓
を渡辺藤夫さんが演じて大きな拍手を浴びていた。

▽「親沢手踊り保存会」=明治初期から伝わっている郷土芸能の手踊りや巫女爺踊りを継承
している。今回は「手踊り親沢おけさ」と「巫女爺踊り」を披露。

「手踊り親沢おけさ」=踊り手は小野塚行雄さん、小野塚重行、小野塚サト子さん、渡辺由美
子さん、小野塚幸恵さん、小野塚祥恵さん、小菅月さん。唄は小野塚光則さん、太鼓を小野塚
達雄さん、笛を小野塚大輔さんがそれぞれ担当した。女子中学生も交えた賑やかな演目にな
った。

「巫女爺踊り」=もう一つのだし物である同踊りは、人形踊りである。五穀豊穣、無病息災を祈
願して奉納する。明治4年以来村の祭りには欠かせない存在であったが、戦後一時中断した
経緯がある。しかし昭和48年、当時20歳から30歳代の若い世代が復活への意欲を示し、諸先
輩の努力と相まって復元した。
巫女爺といっても巫女はいない。爺だけのため「メッコンジサ」と呼ばれている。手踊りだけで
表現豊かな舞を見せ愛嬌たっぷりの舞である。現在同踊りは12団体(長岡市西部地域の8団
体と小千谷市の4団体)が伝統芸能として継承している。平成20年3月には「巫女爺人形踊り」
として新潟県指定無形文化財に指定になった。
上演は「坂登り」「チョンだせ」「新保広大寺」「マサヨ」「帰り屋台」の5曲。操り手が小野塚健二
さんと小野塚富夫さんが、大太鼓を小野塚実さんが、鉦を小野塚光則さんがそれぞれ担当。さ
らに締め太鼓が小野塚サト子さんと渡辺由美子さん、笛を小野塚寛次さん、平石正夫さん、小
野塚行雄さん、小野塚春夫さん、小野塚正晴さん、小野塚重行さん、小野塚大輔さんが好演し
た。

▽「瓜生御神楽保存会」=百数十年前から伝承されている瓜生御神楽から「醜女(しこめ)」
「杵築(きづき)」を上演した。同御神楽は一時途絶えていたが復興され、現在11名によって伝
承している。
「醜女」は国生みを終え、多くの神々を生んだ神話で伊耶那岐命と伊耶那美命の物語である。
燕良弘さんと片桐大さんが舞方をつとめた。笛は齋藤敏さん、木村敏則さん、片桐英敏さんの
3人が、太鼓は燕久宣さん、ジャンを齋藤俊朗さんがそれぞれ務めた。
「杵築」は大国主命と二神の国造りの舞である。二神の出会い、持ち道具の由来の紹介、大
国主命が住んだ宮殿(現在の出雲大社)の上棟祝いを表現した舞である。
舞方は小川忠介さんと渋谷恵太さんがつとめ、笛と太鼓とジャンは「醜女」と同じく各氏がつと
めた。
 同御神楽は最後に福を撒き、観客者全員に福を分け与えていた。
観客の70代女性は「凄い。いろいろなものが。いろんな場所で守られていると思いました。感
動しました」と、40代女性は「神楽舞や手踊りなど観て情緒がありました」とそれぞれ話してい
た。

 


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名誉市民・桜井徳太郎さん
名誉市民・桜井徳太郎さん