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長岡新聞・悠久録(5月16日)No.1603 桜守

「高齢で電話は全く通じません。難聴です」と前置きしたお手紙を頂戴した。弓町に住むSさん
だ。弊紙の記事(4月18日号『福島江の始まりと桜並木』)を読み、心が熱くなった。そこで手紙を
したためたという▼Sさんは、福島江の桜を育てた駒野廣冶(1867~1963)を後世に長く伝え
たいという。市に依頼して桜の木の下に説明板を出してもらったという。某割烹の依頼を受け有
志の力で紙芝居も上演した。大勢の「桜守」の力で、駒野の業績はこれからも語り継がれるだろ
うと喜ぶ▼駒野が桜の木を植えたのは、農事試験場農夫長のときのことだ。最初は6尺(約180㌢㍍
)以上の苗木200本、支柱のための細竹400本を購入し、人夫を4人雇った。発芽してからはさらに人夫1人
を雇い、苗木に施肥をした。
その後、雪害で傷んだりした苗木を補充して、桜を守り育てた▼今年の
福島江は、殊のほか綺麗だった。桜は陽春の光りを浴びていっそう魅力を増し、胸が躍った。冬
が厳しかったこともあって春の陽気で桜は、このうえなく心に沁みた。市の中心部にあることから
出かけやすく、いつまでも愛でていたい桜並木だ。駒野は素晴らしい「桜守」だった▼Sさんもそ
の一人だ。桜の美しさは数知れぬ「桜守」が育ててきた。お手紙には、「桜守駒野」を後世に伝え
たいとの情熱が込もっていた。
(とけいそう)

 








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