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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.1031:桜
(4月13日分)

4月の半ばになると、長岡も桜の季節になる。あちこちで桜が咲き乱れ、桜まつりも佳境に入
る。今度の土日はにぎやかなことだろう▼そのような春の喜びを古人は「三春」として尊んだ。
本来は初春・仲春・晩春の総称である。だが寒冷地では梅や桃の開花とともに桜がいっせい
に咲く。三つの花がともに咲き乱れる様子は、「三春」の語感にピッタリである。いかにも春らし
い思いがこもっている▼「花」と言えば桜である。春に最初に咲くサクラを「初花」と言う。遅く咲
くのが「遅桜」である。「花の庭」「花の門」。いずれも花は桜である。さらに「花」は人の心情まで
もうつす。「花の錦」「花の粧(よそおい)」という。桜の美しさに重ねて人の喜怒哀楽がうかがえ
る▼散り際の鮮やかさが古武士の風情に合うとして、桜は尊ばれてきた。だが。八重桜の仲
間はその多くが房のままぼったりと地に落ちる。春の名残に未練を残しているかのようである
▼太平洋戦争末期の特攻機「桜花」は、爆弾にエンジンと翼を付けただけの造りだったという。
搭乗した兵士はどんな思いで米艦に向かったのだろうか。桜は散り際が美しいとされても、死
にたいはずはなかったろう。特攻機の桜は八重桜に見えたかもしれぬ▼昔「サクラチル」との
電報を受け取ったことがある。あの日は遠くなってしまったが、「サクラサク」の電報はなかなか
届かない。「花の影」「花の名残」「花を惜しむ」という。花の美しさは形にあり、人の美しさは覚
悟と心映えにあると聞く▼4月、花の季節である。(とけいそう)



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