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(9月12日分)
かって「稲藁から真綿」事件が世間の耳目を集めた(1912年)。「真綿」とは「絹」のことであ
る。詐欺師たちは各地で公開実験を行い、稲藁から生糸を取り出した。朗報である。不要の稲 藁が生糸に成るのなら、膨大な利益が生じる▼当時、女性のストッキングは全てシルクであっ た。日本の絹が珍重され、工業化が進んでいなかった時代の有力な輸出品だった。大学教授 など高名な学者、政府の要人、金持ちが騙され、企業化のために出資した。詐欺師は大金を 手にしたという▼だがそんなことができるのか。植物性のタンパク質が動物性のそれに変わる のか。詐欺であることは明らかであるとして首謀者は逮捕。服役するのであるが、出獄後さら に奇想天外な詐欺を始める。「水から石油」である▼詐欺師は公開実験を繰り返し、衆人環視 の中で石油を取り出す。これに郷土の先輩山本五十六も騙された。当時「石油の一滴は血の 一滴」だった。石油がなければ軍艦もゼロ戦も戦車も動かない。アメリカに対抗できない。海軍 次官だった五十六は海軍省で実験させる(1939年)。それほど石油が欲しかったのだ▼詐欺 師はこのときも出資金を集めた。だがもちろん工業化は実現しない。五十六も悔しかっただろ う。後年米国から徹底した石油禁輸を受けた日本は、備蓄がある内にと勝負に出る。真珠湾 奇襲である。禁油の制裁が戦争の引き金となった▼石油は今も産業の要諦である。国際政治 は禁油を議論しているが、涼しくなった気候のように冷静さはさらに必要になっている。(とけい そう)
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