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(9月21日分)
ハギが風に揺れる季節になった。アサガオが名残の命を主張している。毎朝咲くアサガオは
嬉しいものだ。その姿は、まさに「アサガオだ!」と思う。夏の花と思いがちであるが、「秋の七 草」にその名前がある。俳句では秋の季語である▼「秋の七草」は身近な草花七種類の総称 である。ずいぶん古い時代からの言い伝えであって、七草にはススキなど素朴な花が並んでい る。自然と一体に生活していた時代では、身近な草花が定着したのだろう▼七草のひとつアサ ガオは平安時代に中国から渡来。育てるのも簡単で毎朝咲いて綺麗である。種類も多く楽し める。最近ではグリーンカーテンにも利用する。だから「秋の七草」にいうアサガオは、これ だ!と思いがちである。だが実は今でいうキキョウであることが判明している▼キキョウはこの うえなく美しい。王朝人は短い花の命にはかなさを見たのか。朝咲く花として愛でたのだろう か。そしてキキョウをアサガオと呼んだ。そうしたなかムクゲが渡来する。朝に咲きこれも美し い。賞賛を浴びて、アサガオと呼ばれるようになった▼こうしてキキョウはアサガオの地位から 転落する。さらに「牽牛子」(けにごし)が輸入されると、朝咲いて美しさも際立つことからアサガ オと呼ばれる。これが今のアサガオでムクゲもついにその地位を失った。▼キキョウがアサガ オと呼ばれなくなったときに、七草の表現も変われば良かったのに、王朝人は変えなかった。 おかげでアサガオはややこしい状態になり、その変遷はドラマのようである。(とけいそう)
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