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No.1073:ゴッホの『アルルの部屋』
(10月3日分)

国立西洋美術館(上野)が世界遺産になった。戦後フランスから返還された松方幸次郎(186
6〜1950)のコレクションを収蔵している▼松方は明治の元勲で内閣総理大臣をつとめた松
方正義の息子。衆議院議員の他、川崎造船など一流企業数十社の社長や役員をし、財界の
大物であった。外遊途中で美術品を買いまくったという▼あまりにも買い過ぎて、世界恐慌のと
きに会社の資金繰りが逼迫。ついに倒産した。このときコレクションは散逸して不思議はない
のであるが、当時の日本の輸入関税は天文学的に高かった。これが幸いしてフランスに留め
置かれたままだった▼幸運というべきであるが、第2次世界大戦の結果、戦勝国フランスが全
部接収してしまう。なかなか返してくれない。政府あげて交渉した結果、美術館建設を条件によ
うやく戻ってきた。こうして建築したのが同美術館である。設計はフランスで活躍していた当時
の世界的な権威ル・コルビュジエ。大国の思惑が見える話である▼だが返還のなかには、ファ
ン・ゴッホ(1853〜1890)が自らの寝室を描いた『アルルの部屋』は入っていない。自殺の前
年、母に贈った絵である。故郷オランダを出奔したゴッホは、近況を知らせたかったのだろう。
母への思いが籠る名作であるだけにフランスは手放そうとしない。同様の絵柄は他に2枚ある
が、同作は小さく、母の家には小さな絵がふさわしかったようだ▼いまはオルセー美術館(パ
リ)にあるという。1枚の絵にも、国家の思惑があり数奇な歴史がある。(とけいそう)


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