長岡新聞悠久録Ｎｏ．１１２７：日大のアメフト

毎日驚くことが多い。国会答弁に合わせての公文書改ざんや隠匿。廃棄処分したはずの文書
がぞろぞろ出てくる。トップの背信が部下の腐敗を招いている。信頼や敬意が消えて、嘘、偽り
が蔓延していく▼こうした国の中心レベルの腐敗は、いつの間にか各方面に浸透していくも
の。それを防ぐのは各人の理性と信念であるが、それはいつも呟きにも似て空しさを伴う。アメ
リカンフットボール（アメフト）の日大の選手が犯したタックルも同様だろう▼監督、コーチの指
示だったというが、監督は違うという。アンフエアーな行為を明確な言葉で指示することは少な
い。いつでも否定できるようにしているのが、その場合の常道だろう。それだけに陰湿さが伴
い、傍でみれば嫌悪感が伴う▼本人は独自に記者会見で謝罪した。その翌日、あわてたよう
に大学も記者会見をしたがみていて愉快なものではなかった。「同じ質問が繰り返されている
のでこれで会見は終わります」と終了宣言。「じゃあ違う質問をします」と声が上がると、「違うの
を言えばいいというものじゃありません」と、まことに乱暴であった▼世の中の様々なことの実
現には多くの人の協力が欠かせない。だから威圧的ではなく友好的に、敬意を持って接すべ
きとされる。昨今は違うのであろうか。国のトップの乱暴な傲慢さは、このような形で国民の心
情を蝕んでいる▼それでもせめてスポーツだけは、確立されたルールの下でエチケットを守り
ながら技を競う。そのような清々しさが、魅力であることを忘れたくない。（とけいそう）