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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.774:原発被害のなかでの田植え
 
2014.5.27:長岡新聞1面に掲載

5月も終わろうとしている。この時期田植えが盛んである。いつの間にか水がはられた水田 
に、か細げな風情の早苗(さなえ)が風にそよいでいる▼どこの田も田植機が整然と活躍して 
いる。1f(1町歩)の田んぼも、機械を使えばまたたく間に終わる。市内小学校では田植えの 
実習に子ども達が歓声を上げる。豊かな自然環境の中での農作業に、次の世代への期待が 
籠る▼原発事故の結果、居住制限区域にある浪江町酒田地区(福島県)で4年ぶりの田植え 
が行われた。収穫したコメは食品の基準値(1`当たり100ベクレル)を下回ればイベントで
配 布する。風評被害の払拭(ふっしょく)に役立てたいという▼仙台市でも津波被害の復旧が
遅 れている田んぼで田植えが行われた。津波で表土が削り取られており、以前のような収穫
は 難しい。だが手をこまねいておれば、田んぼはますます荒れる。「被災地に田園風景を取り
戻 したい」と力を込める。東北の被害は今も続いている▼大飯原発3、4号機(福井県おおい
町) の再稼働に福井地裁は21日、「原発は社会的に重要だが、電気を生み出す一手段にす
ぎず、 人格権より劣位にある」と指摘。「認めない」と判決した。安心・安全とする原子力ムラの
説明 が虚構であったことを思えば、当然の結果であろう。どこかで歯止めをかけなければ、田
植え の喜びも失われる▼はだしで田んぼに入っての田植えに、子ども達は一様に「楽しかっ
た」と いう。「毎日でもしたい」という。その声には私たちが守るべきものが凝縮している。(とけ
いそ う) 
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