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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.814:高倉健の惜しい死
(11月22日分)

映画俳優・高倉健が亡くなった。享年83。惜しい死である。高倉が主演した映画は、心に沁み
るものが多い。『網走番外地』『日本侠客伝』『昭和残侠伝』『幸福の黄色いハンカチ』『八甲田
山』『南極物語』、『鉄道員(ぽっぽや)』『あなたへ』など、いずれも邦画史上に残るヒット作にな
った▼受賞も多い。日本アカデミー他で最優秀主演男優賞、2006年に文化功労者を受賞、
13年には文化勲章も受賞する。このとき高倉は「この国に生まれて良かったと思える人物像を
演じられるよう、人生を愛する心、感動する心を養い続けたい」とコメントし、親授式では「日本
人に生まれて本当によかった」と喜びを語った▼本名は小田剛一(おだごういち)。最初の芸名
は忍勇作。気に入っていたとのことであるが、高倉に変わった。人に丁寧に接し、律儀であっ
たという。撮影現場では決して座らず、冬の屋外撮影でも、暖を取るための焚火を、大勢のス
タッフたちに譲って近づかなかった▼現場の景色や空気、スタッフの努力など、見ていて鳥肌
が立つ思いがあると語る。「自分よりもお金を貰っていない人たちのほうがはるかに頑張って
いる。現場はそうした人たちによって成り立っている。そんなことに気づくまで何十年もかかっ
た」と自省する▼座右の銘は「往く道は精進にして忍びて終わり悔いなし」である。天台宗比叡
山延暦寺大阿闍梨(あじゃり)・酒井雄哉師から贈られた言葉と聞く。高倉の最初の芸名には
「忍」がある。この言葉を終生大切にしたのだろう。合掌。(とけいそう)

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