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No.826:虎屋の羊羹
(1月20日分)

羊羹で知られる「虎屋」の創業は1500年代。戦国時代に京都で創業したという。1586 (天正
14) 年、後陽成天皇のご即位以降は御所の御用を承ったと、同社はホームページで謳ってい
る。当主は17代目。まさに老舗である▼そのような歴史の古さもさることながら、同社の一番の
魅力はその和菓子にある。中でも羊羹がうまい。密度が濃いためか少々固い。それが何とも
言えぬ魅力である。竹の皮を静かに解き開け、中身の羊羹を取り出す。食べる前から美味しさ
が伝わる▼羊羹は和菓子のなかでも人気が高い。材料は小豆や寒天である。煉羊羹でも簡
単に作ることができる。今は肉は使わない。肉を使わない羊羹であるが、その文字にはヒツジ
の文字が3つも使われている。ヒツジ肉を使うわけでもないのに、何故なのだろうか。気になる
話しである▼虎屋では、羊羹の本来の姿は「ヒツジの羹 (あつもの)」だったと話す。つまりヒツ
ジ肉がはいったとろみのある汁物である。ヒツジ肉は多かったのだろう。それが文字に現れて
いる。▼同社のホームページでは鎌倉から室町時代にかけて禅僧が点心 (食間に食べる小
食) の一つとして中国から伝えたとある。しかし禅僧は肉食がタブーであった。このため日本で
は小豆や葛、小麦粉を用いて料理し、江戸時代に寒天が発見されてからは、現在のような煉
羊羹になったという▼ヒツジ肉は使わないが、文字には原型が残った。ヒツジがもたらした食
文化はこんなところにも残っている。(とけいそう)
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