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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.827:「敵の味方は敵」にされてしまった日本
(1月24日分)

お正月の雑煮は今も郷土色を色濃く残し、伝統の味や作り方を変えていない。それだけに雑
煮には限りない郷愁があって、日本人の好物である。もともとは「羹」(あつもの)のことだった。
毎朝「羹」を神仏に供して、大晦日にはそれを一家こぞって食する。神に供えた食材を使って
の雑煮に1年の感謝を託したのである▼今年は未年。ヒツジは人間生活に深いつながりがあ
った。火曜日の本欄では、ヒツジを3個も使っているとして羊羹について触れた。文字ができた
とき、ヒツジは身近な家畜だったのだろう▼「和羹塩梅」なる言葉がある。「わこうあんばい」と
読む。国を適切に治める有能な宰相・大臣のことを指す。「羹」は塩と酸味にする梅酢との兼
ね合いが食味を決める。酸いと甘いの双方をうまく組み合わせての政治が、絶妙なバランスを
生んでいるとして生まれた言葉である▼反対の意味になるのが「太羹玄酒」(たいこうげんし
ゅ)である。「太羹」は味をつけていない肉汁のことである。「玄酒」は水のこと。どんな肉でも味
がついていなければさほど美味しくない。それを水で食してはさらにうまくない。転じて規則を守
るばかりで面白味のない文章のことをいう。いずれの文字にも干支のヒツジがいる▼年が明け
て今年1年「塩梅」をどのようにとるかなどと、考えていたら悲報である。2人の日本人がイスラ
ム国に誘拐された。身代金を払わねば殺害するという。「和羹塩梅」を目指したのに、「敵の味
方は敵」にされてしまった。日本は峻烈な事態に直面している。(とけいそう)
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