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No.839:南風「春一番」(はるいちばん)

(3月10日分)

今年の春は早い。近くの田んぼではすでに雪が消えた。あちこちの日陰でも、まもなく雪の姿
は無くなるだろう。早い春に何故かしら心が踊る▼春を告げる南風「春一番」(はるいちばん)
が吹いたのは先月だった。気象庁の発表では2月22日が新潟地方の「春一番」である。昨年
は3月18日だったから例年より18日も早い。冬が早かった分、春が早いのだろう▼「春一番」
は日本海側の漁師たちの言葉だったという。壱岐で用いられている語として『俳句歳時記』に
載ったことから、次第に使われるようになった。強風であり、時には災害を生むのであるが、
「春一番」の語感には、なにやら夢が満ちている。ことしは一番の後に二番も吹いたようであ
る。自然界の儀式はすでに春到来を示している▼この時期は通常、「寒の戻り」がある。「余
寒」ともいう。まだまだ北風の力は残っており、「春北風」が吹くためという。寒い日がしばらく続
く気候で、春の遅さが身に沁みせつない。それでもふっと、気温が上がって暖かい日がしばらく
続く。寒暖をくり返しながら、冬は次第に遠のいていく▼「春一番」にはそのようなウジウジした
態度を一掃し、一気に陽転する潔さがある。陽光がやわらかくなって、一斉に木々が芽吹く季
節になる。日本人はなかなか味な言葉を発明した▼明日からは大相撲春場所が始まる。横綱
白鳳は優勝記録をさらに更新するのであろうか。新潟地方の桜開花は4月4日とか。いよいよ
春である▼「春一番吹き抜けしあと畔(あぜ)見ゆる」(進村五月)。(とけいそう)
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