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No.869:2本のアオギリ:盂蘭盆
(8月11日分)

「平和の森公園」(長岡市本町)の2本のアオギリが立派に成長している。2本の親は広島産。
昭和20年8月6日、人類初の原爆の猛威を受けた。爆心からわずか2`bほどでの被爆だっ
た▼熱線と爆風から枝や葉は全て焼失したという、爆心側の幹が半分焼けてしまったともい
う。それでも耐えて新たな芽を出した。今では平和記念公園(広島市中区)で生育、原爆の被
害を無言のうちに語り続けている▼平和の森公園の2本はその子であり、広島市から長岡市
に贈呈されたもの。今では立派に育ち大木になりつつある。2本は70年前の親の悲劇を知らな
いのであるが、無言の内に親の惨禍を語っている▼8月は盂蘭盆の季節である。亡くなった者
の魂が懐かしい場所へ帰って来る。迷わぬように迎え火を焚き迎え入れる。そして盂蘭盆が
終わる15日には送り火を焚く。この世とあの世を結びつけ、魂をあの世に返す。あれから70
年。歳月は容赦なく悲しみを記憶の彼方に押しやり、忘却の淵に閉じ込める。だが8月には忘
れ得ぬ思い出が噴出する▼弊紙8月1日号にはガダルカナル島で奮闘し、奇跡的に生還した
栗原貞次郎さん(長岡市在住)のインタビュー記事が載っている。「食料は完全に無くなってし
まい草とミミズを空き缶に入れ、海水で煮て食べた」という。栗原さんはかろうじて生還できた
が、多くは帰ることは出来なかった▼死んでしまった者が帰らぬのであれば、生き残った者は
何をなすべきなのか。盂蘭盆の時期は、その問いかけへの答えを考えるときでもある。(とけ
いそう)









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