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No.874:世界のトイレ

(9月5日分)

椎名誠のエッセイ『地球は回転する糞玉』を読んだ。これが面白い。しゃれた表題とは思わな
かったが、ついつい読んでしまった▼椎名の紹介によれば、中国の公衆便所は「公厠」と書
き、「公」にふさわしくドアがない。ドアが無いのはいかにも不便であるが、空港などではたまに
ドアがついている。しかし、カギがない。「先客の有無を確認するため」という。これでは困るの
でないかと思うが、「ナゾのドア」であると述べる▼崩壊前のソ連もひどかったという。イルクー
ツクは「ロシアのパリ」と呼称された美しい都会である。その一流レストランのトイレは地下にあ
ったが、糞の山だった。水洗が壊れて修理しないためである。これがロシアのパリなのかとオド
ロク。気温がマイナス40度の極寒の時季はともかく、春になればどうなるのだろう。作家は美し
い文章で春の時季を心配する。「ロシアにも春が来る。リンゴの花咲き、川面に霞たつ春がく
る」と▼ヒトは1日に平均200cの大便をするという。これに人口を掛算すれば――、世界の
糞の量がでる。想像をたくましくすれば、人類の歴史と共に毎日繰り返される営みを、ヒトの手
では処理しきれない。その多くをヒト以外の生き物が処理しているのが現実である。してみれ
ば、自然からの恵みの多寡は、トイレ事情に垣間見えてくる▼弊紙には長岡造形大学前理事
長の豊口協先生が『世界トイレット紀行』を寄せている。先生の実体験に基づく薀蓄が面白い。
世界のトイレ事情は千差万別。日本のトイレはありがたい。(とけいそう)

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