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悠久録(過去の悠久録はこちら)
(10月6日分)
食欲の秋になった。ナシ、ブドウ、リンゴなどすべてが美味い。そのうえ山野が燃える紅葉も近
い▼秋の味覚は、昔と違うのであろうか。戦後70年、日本社会は大きく変わったという。確かに 新幹線が生まれ高速道路が生まれた。移動は便利になって人生はさらに豊かになった。携帯 電話も便利である。小さなポケットサイズの機械が、友情を維持し、ビジネスを支える▼だが新 幹線や高速道路が無い時代でも、人は遠距離を移動していた。「移動」だけで考えれば、今も 昔も変わりない。その手段が二本の足から機器に変わっただけである▼先日の満月にして も、「中秋の名月」として愛でる日本人のDNAは、大昔から変わらない。藤原道長(966〜10 28)は、「この世をばわが世とぞ思ふ望月の/かけたることもなしと思へば」と詠ったという▼ 自らの栄達が満月のように満ち足りているとの道長の幸福感は、驕りや傲慢さも含めて、100 0年を経た今も伝わってきて共感を呼ぶ。1000年の時を隔てても、日本人の心情はそれほど 大きく異ならない。だからこそ、昔の古歌が理解されていくのだろう▼戊辰戦争は長岡を焦土 にした。多くの人命を失ったのであるが、そこに息づいた長岡人の気概は今も変わらない。米 軍機による空襲によっても長岡は焦土になった。だが同様に不死鳥のごとく羽ばたいている。 3日は「米百俵まつり」だった。そのDNAは連綿として変わらない▼もうすぐ紅葉が始まる。秋 の味覚を味わいながら、昔に変わらぬ錦秋を愛でようではないか。(とけいそう)
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