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No.884:役人の子はにぎにぎをよく覚え
(10月17日分)

マイナンバー制度に絡んで厚生労働省の室長補佐が業者から数百万円を受け取った。IT関
連では図抜けて優秀な人だったがキャリアではなかった。事件の背景には何があったのか▼
自分の知識や能力が今の地位や権限と見合わないと、不平不満が生じる。報われない処遇
が陥穽(かんせい)におちた遠因であれば、なんとも人間とは弱いものである▼時代劇でも賄
賂(わいろ)の授受がある。立派な風体の武士に、辞を低くした小太りの商人が菓子折りを差
し出す。「○○の銘菓にございます。ぜひご賞味を」と。武士は今でいう公務員。政策決定権者
である。自らの職務の見返りに金銭を受け取れば、収賄罪になる。それでも菓子折りの中身
が気にかかる▼商人は企業経営者である。お上からの仕事が途絶えては生死にかかわる。
そこで菓子折りに山吹色に輝く小判を詰める。中身を見た武士は、「美味そうな菓子であるの
う」と鷹揚に頷き、商人は「あの件はよしなに」と意気込むことになる。だから「山吹色のお菓
子」や「黄金色のお菓子」は、賄賂の別称である▼賄賂の受け渡しの様子から「袖の下」や「に
ぎり」なる隠語も生まれた。川柳には「役人の子はにぎにぎをよく覚え」がある。子は親のまね
をする。さらに「役人の骨っぽいのは猪牙(ちょき)に乗せ」がある。「猪牙」は吉原へ行く専用
船。懐柔しにくい役人でも「猪牙」に乗せれば骨抜きになる。今でいうハニートラップである▼賄
賂は人間の業なのか。それにしても商人がなぜか「越後屋」であることが気にいらない。(とけ
いそう)
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