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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.913:西行法師と黒田総裁

2月は季節の変わり目。冬の寒気が少し和らぐが、春の華やぎにはまだ遠い。人の判断も施
策も揺れている▼今日は西行法師の命日。平安末期の大歌人である。出家前は法皇に仕え
る武士であった。和歌に優れ、弓馬など武勇にも優れたエリートだった。だが若くして出家す
る。そして数多くの秀歌を残した。その質実な生活や人柄に、今も敬慕する人は多い。辞世の
句が「願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」だった▼一方今日は、日銀に
よるマイナス金利適用(一部)開始日である。西行法師とは異なる世俗の決断で、お金の世界
は大混乱である。日銀は市中銀行から預かった預金に手数料を課すという。利息を払わない
で手数料を取る180度の変更である。これをカバーするため市中銀行は庶民からの預金につ
いて金利を下げるという▼手数料を取られるくらいなら、全額引き出して誰かに融資すれば良
いのだが、バブル時代の記憶がよみがえる。あの時は焦げ付きがあまりにも大きく、倒産した
銀行は少なくない。そこで、お金は安全な国債に殺到。価格は上昇し利回りは、ついにマイナ
スになった▼満期まで保有すると損失が起きる。このままでは、年金資産も危ない。黒田日銀
総裁は就任時、2年以内に消費者物価を2%に引き上げると豪語した。だがその可能性はほ
ぼゼロである。きっと引っ込みがつかないのだろう▼もう少し暖かくなれば人の心も落ち着き、
妥当な施策が出てくるのだろうか。西行法師のような決断は遠く、悩ましげな季節が続いてい
る。(とけいそう)
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