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No.920:「雪形」の愉しみ

暖かくなり山々がその肌を見せてきた。雪が消えていく途中の残雪は、雪の白と山肌の黒が
微妙なコントラストを見せて美しい。じっと目を凝らせば何かの形に見える。それは馬の形に見
えたり、人の姿だったりする▼毎年同じような時季に同じような形が同じ場所に現れる。日照
の具合や地形、地質の差は場所によって異なるが、特定の場所では同じ形を毎年繰り返す。
古人はそのような残雪の形を「雪形」と呼んで、農作業などの目安にした▼「雪形」は「あそこ
の斜面に馬の形が現れたら、田起しの時季」だ。あるいは「種まきをはじめるとき」などと、古
老から若手に連綿と伝承してきた。暦の精度が不十分だった時代は、「雪形」は農事歴として
農作業の時季を決める重要な判断材料だった▼新潟県内で知られている「雪形」は100を超
えるという。長岡では鋸山(765b)に現れる「川の字」がよく知られる。これが山肌に出ると、
苗代や種まきの時期とされた。逆さにすればさらに「川の字」になるという。市内の和菓子店
「茨木屋」では自家製品のお菓子に「さかさがわ」の名称を付けているから、身近な「雪形」なの
だろう▼最近は農作業を考慮しない「NEW雪形」の発見も続いている。長岡では、鋸山に「ブ
レーメンの音楽隊」が登場する。イヌ、ネコ、ロバ、オンドリが連なり賑やかである。市営スキー
場にはパラソルを持つ「西洋貴婦人」が現れる▼これから緑が濃くなっていく。遠くの山肌に
「雪形」を探す。雪国の早春は日々姿を変えて、楽しみが尽きない。(とけいそう)
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