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No.934:小泉元首相の涙

元首相小泉純一郎氏(74)が、米国での記者会見で涙を流した。テレビ画面いっぱいに小泉氏
の涙顔が映り、「救援活動に全力を尽くしてくれた米国の兵士たちが重い病に苦しんでいる。
見過ごすことはできない」と泣いた。「原発推進論者も反対論者も、何ができるか共同で考える
ことだ」と訴えた▼東日本大震災のとき、太平洋上を航行していた米原子力空母「ロナルド・レ
ーガン」は艦長の判断で陸上交通が思うに任せない時期に、空からの支援を遂行した。当時
「トモダチ作戦」と称され、称賛と感謝が集まったものである▼だが東京電力の原発が爆発(メ
ルトダウン)。放射能が拡散した。第一線に立った米兵らは放射能を浴びた。現在、400人余
りが健康被害を訴え、東京電力に補償を求めているが、進展していない。災害に学んで原発
廃止論者になった元首相は、「原発ゼロ」を標榜し、「見過ごせない」と語ったのである。そして
「症状はますます悪くなっている。善意によって、日本の災害に救援活動を行ってくれた米兵が
いま、重い症状に苦しんでいる」と悲しみ、「日本国民に知らされていないのは不思議」と話す
▼「鬼の目にも涙」という。鬼は通常涙を流さない。峻烈に人を裁き、過酷な地獄へ送ってしま
う。だがときには、人の世の深い哀しみや辛さに共感し涙を流す。鬼ですら涙を流すのである
から、人間はもっと他者を思いやるべきであると、この箴言は語っている▼小泉元首相の涙
は、災害の経験をどのように評価し活かすのかと、重く問いかけてくる。(とけいそう)記者を募
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