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No.943:炉心溶融の隠ぺい
7月2日掲載

危機管理の言葉「KY」は、危険予知の略として使われる。転じて「空気を読む」の意味になり、
それができない人を「空気を読めない」として揶揄もした。周りの空気を読むことは、和気藹々
とした時間を共有し、コミュニケーション上欠かせない▼だが、これがビジネスや国家の政策に
広がれば、その良し悪しは好感度だけでは判断できない。上司の考えを慮ったり、先取りした
りする行動は、評価される一方で媚び、へつらいにもなりかねない。東京電力の隠ぺいもその
一つだろう▼同社は先の原発事故が、原子炉の「炉心溶融」であることを隠していた。原発事
故で最悪とされるこの事故は、燃料棒が融けて原子炉の底にたまる。そして高熱が原子炉を
溶かし、燃料棒が流出。放射能をまき散らす。水蒸気爆発を起こし、放射能の拡散はとどめも
なく広がる。最悪の事故である▼当時の東電社長は、この言葉を使うなと指示したという。隠し
たかったのであろう。政府筋からの示唆あるいは指示があったかもしれない。単なる配慮だっ
たのかもしれない。今となればその理由は分からない。冒頭の「KY」でいえば、東電は「空気を
読む」ことに長けていたが、その「KY」は保身に向かい、国民の安全に向かわなかった▼これ
が表面化した発端は、新潟県にある。県の職員は泉田知事の意を呈して膨大な資料の検証
を進めていた。そして東電の内部資料で「炉心溶融」であることを発見したという。良く見つけて
くれたと思う▼こうした地道な調査が隠ぺい体質を是正していくに違いない。(とけいそう)
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