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No.947:シーボルト先生のミステーク

文章を書く作業では固有名詞を間違えないことである。発音が同じでも文字が異なることもあ
る。人の名前はとくに神経を使う。植物や動物の名前でも同じような注意が必要である。史上、
話題になった間違いは少なくない▼沖縄に生息する小鳥「アカヒゲ」も、間違いがいまだに尾を
引いている。鳴き声がとても綺麗な希少種である。1970年に国の天然記念物になった。雄の
胸にはヨダレ掛けのような黒い模様があり、これがひげに見える。だが「アカヒゲ」と呼ぶ。「ク
ロヒゲ」が似あいそうであるが、背中が鮮やかな朱色。名前はそこからきた▼飛ぶ姿は、「まる
で赤いピンポン玉が飛び交うようだ」と鳥類学者の関伸一先生は話す。「アカヒゲ」は、江戸時
代に武家階級や裕福な町人の間で、盛んに飼育されたという。沖縄(当時は琉球)から島津藩
が採捕し、将軍家へ贈るなど、人気の小鳥だった▼長崎に来日していたシーボルト(1796〜
1866)はこの標本を、その他の標本と共にライデン博物館(オランダ)へ送った。そして1835
年、新種の小鳥として学名が付いたが、アカヒゲの学名は「komadori(=コマドリ)」だった▼
さらに一緒に送った他の小鳥(コマドリ)の学名が「akahige(=アカヒゲ)」になった。明らかな
間違いであるが、国際ルールは修正を許さない。だから学名の決定から200年近くたとうとす
るが、この間違いは永久に続く▼間違いの原因は分からないが、関先生はシーボルトの勘違
いでないかと推測する。コワイ話である。(とけいそう)

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