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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.949:天皇の生前譲位

衝撃的なニュースだった。天皇陛下が退位の意向を示された。公務負担が重く、現状では体
力的な課題が大きいのか。しかるべき時期に皇位を皇太子に譲りたい意向である▼皇位は終
身である。その継承については、「皇室典範」(1947年1月公布、現憲法と同日に施行)で詳
細が決まっている。突然の崩御(死去)で混乱が起きないようにする配慮である。しかし、人生
半ばでの退位は定めていない。退位の時期によっては、政治的な責任を取ったとされかねな
いからである▼もし昭和天皇が戦後退位しておれば、天皇の名で開戦した先の戦争につい
て、責任を取ったことになったであろう。さらに退位を認めた場合、退位後も法皇と称して政治
的な権威を持つ危惧がある。法皇と天皇が争った歴史もある。だから「皇室典範」には退位の
定めはない▼だが天皇も生身の人間である。「上御一人(かみごいちにん)」としても、命が燃
焼しきるまで公務の負担をお願いするのはいかがなものか。現在の天皇は、戦争責任とは無
縁である。その点からしても退位は可能である。あるいは2011年に、秋篠宮が「定年制が必
要になってくる」と述べられている。しかるべき年齢をもって皇位を譲るのも、一つの方法であ
る▼ご自身からの発言である。これでくすぶっていた退位問題は、広く議論されていくことにな
る。仮に退位が実現すれば、近代の天皇制で最大の変更になる。それは、現行憲法が目指し
た象徴としての天皇制にも影響を与えるだろう▼天皇は果敢に人間性を打ち出された。(とけ
いそう)



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