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No.951:言葉の名人、綾小路きみまろと大橋巨泉


言葉の力は偉大である。短いフレーズの中に、万感の思いがこもる。忙しい現代であるが、言
葉の力は侮れない。漫談家・綾小路きみまろ(1950〜)は、中高年世代の悲哀をユーモラス
に語って人気が高い。そのフレーズは何故か耳に残る。「あれから40年・・・」など、聞く前から
今の現実を思わせている▼お客はほとんどが中高年である。笑いの渦に巻き込んだあと、「何
がおかしいんですか。残念です。あんな顔に笑われて。私だってあなたの顔を見て笑いたいで
す」とおとす。「綺麗な方ばかりです」と持ち上げ、「口紅が」と続ける。そのタイミングが絶妙で
あって、笑いをさらに呼ぶ▼毒舌ではあるが、なぜか憎めない。きっと温かいハートなのだろ
う。きみまろ語録は、高齢者の増加とともに、ますます広がっている。ご婦人方は笑い転げ、き
みまろは東奔西走、忙しい。元総理大臣の小泉純一郎氏は、辞任後きみまろの著作を楽しく
読んでいたという。キツイ言葉の中に、勇気づける何かがあるのだろう。「ツヤのない上半身、 
用のない下半身」と喝破されると、逆に今を大切にしたいと思うから不思議だ▼大橋巨泉(19
34〜2016)も言葉の名人だった。万年筆のコマーシャルでは即興のアドリブを連発。「はっ
ぱふみふみ」を生んだ。さらに「倍率、ドン」「ボイン」「ウッシッシ」なども生んで、時代の寵児に
なった。国会議員もつとめたのであるが、きみまろの言う通り「人間の死亡率は100%」だった
▼悠々と生きた巨泉も逝った。冥福を祈りたい。(とけいそう)


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