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愛縁奇縁
No.101:揺れている倫理観:「従心」は遠く

〇孔子の言葉に「従心」(じゅうしん)があります。「70にして心の欲する所に従ひて矩(のり)を
踰(こ)えず」から出た言葉です。
思ったままに行動すると規則や倫理を逸脱してしまいやすいのですが精進を重ねることで70歳
になったとき、そのような心配はなくなったと言ったのです。「従心」そのような心のあり方を示し
ます。

〇「欲望のままに行動しても、人の道に反しない」とはすばらしい境地です。しかし、現代人に
は耳が痛いことかもしれません。
いくつになっても、倫理よりも欲望が先に立つのは世の習いです。とはいえ「ならぬものはなら
ぬものです」から、心しなければなりません。

〇スイスに本拠を置く国際的な製薬企業であるノバルティス社が、その日本法人であるノバウ
ティスファーム(東京都港区)の社長を退任させました。さらに常務と子会社の社長も退任しま
した。実質上の馘首です。有力企業の社長であっても、親会社の意向には従わざるをえませ
ん。
ことの経緯は、高血圧治療用降圧剤の臨床研究データを操作して、あたかも大きな効果があ
るように宣伝したことにあります。すでにデータ操作が発覚して問題化している京都府立医大
の論文を引用していたのですから、かなりイージーです。
また患者情報の取得についてもデータ解析に社員が参加したりしました。
手軽に収益だけを追求した倫理観に欠ける行動で、企業として誹(そし)りを受けてもやむを得
ない事態でした。

〇万能細胞「STAP(スタップ)」の創出成功を発表した理化学研究所の業績についても、多数
の疑問点が指摘されています。
指摘される問題点は気にかかりますが、同論文に共同執筆者として名前を連ねた多くの学者
たちの動静はもっと気になります。発表時の満面の笑みから一転、今では「確信を持てない」と
していっせいに背を向けています。
問題点を1人の若い研究員の未熟さに矮小化し、自らはバスから大急ぎで飛び降りたようにも
見えます。

〇冒頭の「従心」は次の語句に続いて出てきます。「吾十有五にして学に志し(志学・しがく)、
三十にして立つ(而立・じりつ)、四十にして惑はず(不惑・ふわく)、五十にして天命を知る(知
命・ちめい)、六十にして耳順ひ(耳順・じじゅん)」と。孔子のような桀物であっても、「従心」に
は70年かかったのですから、俗人は、仕方がないのでしょうか。
それでも、私たちは倫理観を失いたくないものです。(黄色い風見鶏)


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