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愛縁奇縁
No.104:4―6月期 GDPが大幅なマイナス

内閣府は2014年4─6月期の実質国内総生産(GDP)を発表しました。これによるとGDPは
前期比マイナス1・7%、年率で6・8%ものマイナスです。11年1─3月期(東日本大震災時)が
前期比でマイナス1・8%、年率換算でマイナス6・9%でしたから、震災時の落ち込みとあまり
変わらず、地震以来の大幅な落ち込みになりました。
消費税などの増税による反動減と輸出の停滞が響いています。

〇ただ、政府は景気認識を変えず、直ちに対応が必要とはみていません。この背景には、景
気の悪化が一時的なものとの見方(あるいは確信)からではなく、アベノミクスの成功を損じたく
ないとの配慮がありそうです。消費税率の再引き上げも控えています。増税が基本政策になっ
ている中、景気の悪化を認めて更なる景気対策などにかかれば、政治的には具合が悪いとの
思いでしょう。
だがそのような傍観的態度で済ますには、状況はかなり悪い。
こうした大幅な落ち込みについて内閣府の一部では「実質所得の減少は否めない。今後注視
していかねばならない」として、反動減だけが原因なのか、所得の減少に伴う需要の減退も影
響してくるのか、慎重に見極めたいとしています。

〇先行きを懸念させる最大の項目は貿易部門かもしれません。何よりも輸出で内需減をカバ
ーできていません。
4─6月期の外需は輸入が減少したことから数値的には押し上げ要因になっています(外需寄
与度=プラス1・1%)。
外需寄与度がプラスとなるのは4四半期ぶりのようですが、実は内需寄与度は7四半期ぶりに
マイナスに転じています。輸出では電子通信機器の減少から3四半期ぶり減少しました。プラ
ス面は輸出の減少で相殺されています。
一方では米国を中心とする海外経済の立ち直りに期待し、輸出好調が景気を下支えするとの
期待もありました。これが政府のシナリオでもあります。政府も日銀も、民間の政府ベッタリ調
査機関も共有していたシナリオですが、どうも違うようです。

〇このように輸出の伸びでGDPに対する外需寄与は大きくなるとみられていましたが、4─6
月の実質輸出は2四半期連続で減少しました(日銀発表)。GDPベースに換算した場合の輸
出も前期比マイナス0.4%です。
どうも気になる状況が現出しています。
火力発電用の液化天然ガス(LNG)の輸入が高水準に加えて、既述のように輸出が良くない
のです。為替の円安は輸出産業に有利に働くはずですが、現実はそのようになっていません。
わが国の産業構造は変化しました。企業の海外進出で原材料の現地調達を進めれば、輸入
の増加だけが顕在化し、輸出は伸び悩みます。
中国との貿易すら赤字になっています。
ちなみに、財務省が24日発表した貿易統計速報(通関ベース)による2014年上半期の貿易
収支(輸出から輸入を差し引く)をみますと、上半期としての赤字幅は過去最大で、その額は7
兆5984億円にものぼりました。国富の消失は消費税に匹敵します。

〇甘利経済財政相は「生産能力の海外移転があり、海外設備が増えている」と分析します。そ
して「国内の設備投資環境を整えることが重要」と指摘していますが、それだけで良いのでしょ
うか。
アベノミクスは失速しそうです。
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No.103:竹島や尖閣諸島への外国の横暴
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