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愛縁奇縁
No.130:新潟県立精神医療センターで暴力再発
院長が謝罪


〇長岡の医療機関で暴力事件があった。新潟県立精神医療センター(長岡市寿・細木俊宏院
長)である。謝罪の記者会見(9月3日)で頭を下げる院長の姿に暗然とする。本当にびっくりし
た。

○暴力事件は、30代の男性看護師が身体拘束を受けている患者に対して暴力をふるい、全
治7日間のけがを負わせたもの。当該看護師が朝食のため両手の拘束を外した際に、患者
から殴られたという。このため、看護師は「カッとなって殴った」と話す。監視カメラには看護師
が患者に覆いかぶさる形で2回殴っている様子が映っているとのことであるが、映像公開は無
く暴行の状況は判然としない。

○実は、同医療センターでの暴力事件は、今回が初めてではない。
2011年7月に暴力事件(9月に謝罪の記者会見)が起きている。この時は男性看護師3人が
特定の患者を長期にわたって虐待したらしく、10か所以上の骨折を負わせていた。しかも長期
間放置し治療しなかったため、骨折の一部は自然治癒する異常さだった。
このため県は第三者委員会を立ち上げて調査した。詳細な報告書を作成、2度と同様の事件
が生じないよう、対患者用のマニュアル作成を指導し、体質改善を進めていた。

○報告書では「自分に暴力をふるったのは6名の看護師で、そのうちの1名からはトイレで蹴
られた」とある。2名の看護師の「(当該患者を)こらしめれ」「任せてください」との会話も記録す
る。
事故の多さも指摘する。「昨年(11年)5月19日患者がベッド下で死亡していた。7月16日には
骨折した患者がベッド下に転がっていた。9月15日には寝たままで頭から血を流していた。10
月26日には下あご骨折の患者が出た。本年(12年)2月9日には無断で病院を抜け出した患
者が交通事故を起こした」など。
だが、同医療センターではマニュアルを作成しただけで、当該看護師はそのまま勤務させ続け
たという。これでは体質改善は難しかろう。

○先輩の意識行動は若手に影響を与える。加害者が従前と変わらないまま勤務すれば、事件
の再発は目に見えていた。今回の暴力事件は「やっぱり再発したか」の印象を強くする。4年
前の体質は払しょくできないでいるのではないのか。
こうしたおぞましさの延長線上で今回の暴力事件が発生していると言わざるを得ない。同医療
センターは早急に抜本的対策を講じなければ、さらなる再発の恐れがある。

○ここに11年の事件を受けての投書がある(9月10日付紙面に掲載)。「患者は閉鎖病棟にい
るので、ほかの病棟の看護師が暴行することは考えられません。すべてA3病棟の看護師で
す」とある。そして「研修をするとかいっても人間は簡単に変わりません」として、人の入れ替え
(異動)が必要と訴える。
長期入院患者は帰る家もない。唯一の居場所が同医療センターであれば、「暴行を続ける看
護師と見て見ぬふりをする看護師」の世界は恐怖だろう。

○それにしても「カッとなって殴った」など、適性に疑問がある。さらに当初の院内報告(後に虚
偽と判明)と内容が違っている。患者が訴えたことから表面化したのであるが、もし患者が沈黙
したらどうなったのか。
細木院長はマニュアル教育は、「これから実施する予定だった」と発言している。当該看護師
は今年4月の採用であるから、おおむね6ヶ月間基礎教育をしていなかったことになる。これで
は再発防止の心もなく、怠慢とされても仕方がない。
 

○4年前の投書がそのまま再現したかのような事件である。マニュアルを徹底し、関係各位が
誠実に対応してほしい。必要ならば関係者の異動を含めて、再発防止に尽力しなければなら
ない。
(社主)
  



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