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愛縁奇縁:既往目次
No.149:トランプ大統領の意気込み
振り回される世界


○ドナルド・ジョン・トランプ氏(70・共和党)がアメリカの第45代大統領に就任した。選挙戦では
政治家としての経験がないことが不安材料として指摘を受けた。過激な発言も顰蹙(ひんしゅ
く)を買っていた。マスコミは総じてクールだった。
だが、結果は本命とされていたヒラリー・クリントン氏(69・民主党)を退けての当選である。世界
が驚愕した。

○就任後トランプ氏が最初にしたことは、TPP(環太平洋経済連携協定)離脱である。まさ
か!との声もあったが、選挙中からの公約であった。
トランプ氏は自国民の利益が最優先であるという。TPPのように多数の国を相手にした交渉
は、妥協が必要になるかもしれない。離脱は新大統領にとっては当然の流れであって、TPPな
どトランプ流にいえば「クソクラエ」なのだろう。

○就任演説では他国の国境は他国に任せるとし、自国の国境をいかにして守るかを強調。保
護主義は繁栄と国家と経済の強化に繋がると述べた。180度の大転換である。
だから海外からの難民受け入れも止める。イスラム圏7ヶ国出身者の入国禁止を命じた。非
難のなか異議を唱えたイェーツ司法長官代行は解任した。この解任に対抗するかのようにシ
アトルの連邦地裁が暫定的な差し止めを命じた。
だが安心で安全な生活が戻るとして、喝采する米国民は少なくない。

○就任の翌日、バージニア州の米中央情報局(CIA)本部を訪問し職員を前に演説。「私は10
00パーセント、あなた方と共にある」と述べた。100%ではない。1000%である。マスコミを
「世界で一番うそつきな人々」と非難もした。
この演説をCIAとの関係修復に努めている証とみる向きもある。だが違うだろう。トランプ流の
恫喝である。マスコミの言葉を聞くのでなく、俺の言葉を支持しろ。無用なリークはクビが飛ぶ
ぞ、と脅かしたのではないか。
アメリカ国内での対立は深まっている。

○あまり触れられていないことであるが、ホワイトハウスの大統領執務室近くには50人収容の
記者会見室がある。これを撤去し、かわりに400人が入れる記者会見室を新たにつくる。
今までは大手マスコミの限られた記者だけを記者会見の場に呼び、情報を流していた。コント
ロールはしやすかっただろう。50人の中に入りたいとして媚びることも起きただろう。
500人に拡大すれば、「うそつきな人々」は自動的に淘汰される。

○この延長線上に世界戦略がある。交渉が必要であれば1対1で行う。必要ならば前任者の
政策は破棄する。高官のクビも安泰ではない。
アメリカが従来担ってきた役割は、ロシアに任せる。ロシアは拡張主義の国である。満面の笑
みで引き受けるだろう。それは自動的に中国を抑えることになる。すでにシリアもリビアも、中
近東ではその動きが顕著になった。
日本は中国・北朝鮮との緩衝地帯である。日米同盟は強化され、沖縄の地位は変わらない。

○トランプ大統領の行動は驚くことが多いけれど、首尾一貫した思考に支えられている。
いわば、エスタブリシュメントとされてきた特権階級の利益から、国民の利益に切り替える。そ
のためにアメリカ第一主義に軸足を移す。だから国民の支持は大きい。
それでも既存の考え方は根強いのであって、アメリカの国論は2分されていく。それが世界をど
こへ導くのか。先行きは全く新しい世界のようだ。
(黄色い風見鶏)

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No.148:2017年 日本の時代が始まる
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