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愛縁奇縁:既往目次
長岡新聞:No.170:相続は争続か

世の中は高齢化になったと言います。それでも人は必ず死にます。だから相続は永遠の課題
です。自分が築き上げた人生の成果を誰がどのように引き継いでくれるのか、気がかりです
ね。しかも関係者は皆老いており、老後の不安を抱えていることが、困った事態を引き起こし
かねません。
まず、相続の権利を主張できる人を確認しましょう。法律で相続の権利を保護される人は誰な
のか。
配偶者はどんな場合でも相続権があります。配偶者と共に子(死んでおれば孫)が相続権を持
ち、子や孫がいない場合や死んでしまった場合に故人の父母(死んでおれば祖父母)が相続
権を持ちます。
こうした人がいない場合に初めて、故人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。死んでおればその
子(甥や姪)が相続権者です。
いわば第一義的には配偶者と子、第2義的には配偶者と故人の父母、祖父母、最後に故人の
兄弟姉妹になります。
配偶者は前述の相続権者全員が相続放棄をしてくれない限り、全額相続できません。

○両親と子どもの一般的な家庭で考えてみましょう。夫婦の一方が亡くなった場合(仮に夫とし
ます)、残された配偶者(妻になります)が財産の2分の1、残りを子どもが均等に分けます。
 子どもが死んでおればその子が相続権者になります(代襲相続)。さらにその子も死んでお
れば孫が相続権者です。実子は母に向かって無茶を言わないかもしれませんが、代襲相続の
孫や甥・姪になればどうなるのでしょうか。数十年にわたって会ったことも無いとなれば、残さ
れた妻にとって心配ですね。さらに養子や連れ子、認知した婚外子など例外的なケースも少な
くありません。
子どもが全員死んでおり(あるいはもともといない場合)や孫もいない場合は、今度は故人の
両親(既に死亡の場合は祖父母)が相続権者で3分の1の権利を持ちます。この場合は残され
た配偶者にとっては義理の親が相続権者です。嫁姑の仲がもともと険悪であれば、これは切
ない話になります。

○この民法の定めは大変ノーマルな良い方法ですが、いったん残った親に全部相続させ、子
どもは放棄をするケースがあります。子どもたちで半分を分けようとは、言いにくいものです。
残された妻は、子どもに向かって、半分はお前たちで分けなさいというべきかもしれません。だ
が自分の老後生活があります。高齢で判断力が鈍っているかもしれません。
残った妻もいずれ死にます。そのときには兄弟が集まって、改めて相続になります。とはいえ
夫の死亡時にあった財産が丸々残っているわけではありません。しかるべき不動産が現金化
されたりし、財産が急減しているケースもあります。あのお金はどこへ行ったなどの声が上が
り、兄弟が争うことになるかもしれません。
母親を介護した心優しい子どもが、その他の兄弟姉妹に責められることも起きます。

○相続権者が子どもだけであればまだ良いのですが、前述のとおり、甥や姪が出てきたり、彼
らがその連れ合いの考えに影響を受けたりしておれば、予想外の波乱も生じます。相続が争
続になるのは、こうした代替わりが重なっている場合に多いようです。混乱を避けたいとして民
法は細かく定めていますが、人知れず苦労が絶えません。
死後の混乱を避けたいとして遺言の制度があります。遺言は全てに優先しますが、これらにつ
いては次回以降考えていきます。

(新潟県経済雇用問題研究


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長岡新聞:No.169:「行くにこみちによらず」
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