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地域の話題
牛の角突き
 新たな闘牛を厩(うまや)入れ

5月2日掲載

 国の重要無形民俗文化財に指定されている山古志地域の伝統行事「牛の角突き」の開幕が
近づいた4月23日、山古志闘牛場(長岡市山古志南平)で山古志闘牛会のメンバーらが設営
作業に汗を流した。今年から新たに加わった新しい闘牛2頭を迎える「厩(うまや)入れ」も行わ
れ、一冬を越した闘牛場ににぎわいが戻っていた。
 
1000年もの伝統行事

同地域を含む長岡、小千谷の両市にまたがる、かつて二十村郷と呼ばれた地で牛の角突き
は、1000年あまり前から行われてきたとされる。江戸時代の小説家・滝沢馬琴が小説「南総
里見八犬伝」の中でも紹介している。
戦後は農業の機械化などによって牛が減少し一時期途絶えたが、地元住民らの手により復
活。郷土の伝統行事として話題になり、人気が高かった。しかし、中越地震により同地域は全
村避難となる大きな被害を受けた。角突きの継続も危ぶまれたが、県内外からの支援を受け
危機を乗り越えることできた。
 角突きは宇和島市(愛媛県)や徳之島(鹿児島県)などでも盛んに行われているが、山古志
地域では牛と勢子の駆け引きを楽しみ引き分けを原則としている点が最大の特徴であり、他
地域とは異なる。この点が評価され1978年、国内の角突きとしては唯一、国の重要無形民
俗文化財に指定された。

一冬を越えた闘牛場で清掃や設営

 4日の初場所を前にした同設営作業では、関係者や地元住民らが集まって一冬の間の汚れ
をおとしていた。闘牛場は冬季間、数bもの積雪で埋もれており、汚れもひどい。ゴールデンウ
ィークに当たる初場所には、例年3000人あまりの観客があることから、少しでもきれいな環
境で見てもらおうと、例年この時期に清掃を行っている。
 闘牛場の整地やゲートの設置、観客席の清掃、一部に残る雪を取り除くなどして、初場所を
迎える準備を整えた。
角突きを主催する山古志闘牛会の松井富栄会長は「毎年5月になると、一冬を越えて山古志
で角突きができる喜びと、応援してくれる人たちに会えるうれしさでいっぱいになる。きれいに
なった闘牛場に、お客さまを迎えての初場所が今から楽しみ」と話していた。

これから先に残る伝統にしていきたい

 清掃後は今年から角突きに加わる2頭の闘牛を「厩入れ」し、お披露目した。2頭のうち1頭
は横綱級ですぐの活躍が期待されている。闘牛場内を面綱を引かれて進む雄姿に、集まった
同会会員らは頼もしそうに見つめていた。
 松井会長は「山古志の角突きが重要無形民俗文化財に指定されてから来年が40年の節目
の年です。そこに向けて伝統文化について見直していきたい。お客さんと一緒に角突きを続
け、これから先に残る伝統にしていきたい」とし、「市内の小中学校の子どもたちを、角突きに
招待できればとも考えている。実際に牛を見たことがない子どもも多いと聞くので、いい機会に
なるのではないかと思っている」と、角突きのさらなる発展へと意気込んでいる。



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