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泉田氏が激戦を制して初当選
衆院選新潟5区 大平氏は猛追も届かず

泉田氏が激戦を制して初当選
 第48回衆院選は22日投票が行われ、即日開票の結果、新潟5区(長岡、川口、山古志地域
含む)では前新潟県知事で自民党新人(公明党推薦)の泉田裕彦氏(55)が初当選を果たし
た。前魚沼市長で野党連合からの推薦を受けた無所属新人の大平悦子氏(61)は約1万200
0票差で敗れた。幸福実現党新人の笠原麗香氏(25)は及ばなかった。
 県内の6小選挙区では19人が立候補し、1区で立憲民主党が、5、6の両区で自民党が、2、
3、4の3区で無所属が、それぞれ議席を獲得した。前回の衆院選では、自民党は3区以外の
5小選挙区で勝利したが、今回は2勝にとどまった。1〜3区で自民党前職が復活当選を果た
したが、4区では及ばず落選となった。民進党から無所属で出馬となった2〜4、6の4小選挙
区では、6区以外で当選を決めた。

投票率は大幅に上昇

 県全体の投票率は、62・56%となった。これは戦後最低を記録した前回の投票率を9・85?上
回る。投票日が台風の接近にともなう悪天候となったが、全選挙区で与野党の事実上の一騎
打ちの構図になり、有権者の関心が高まったことがある。さらに、選挙権年齢が20歳以上から
18歳以上に引き下げられて最初の衆院選となったことも、投票率向上要因のひとつだろう。
 市内の投票率は、越路、三島、小国、和島、与板、寺泊の6地域の2区分が8・48?増の64・
43%、栃尾、中之島の両地域の4区分が9・62?増の67・41%、5区分が12・01?増の60・65%
と、それぞれ大幅に上昇した。市内全体の投票率は、11・02?増の62・05%となり、昨年7月の
参院選の投票率60・36%も上回った。

高い知名度を生かして選挙戦を優勢に進める

 新潟5区では元々、8月の長島忠美前衆院議員の急逝により補選の予定だった。自民党か
らは知名度や知事時代に中越地震からの復旧復興などで選挙区の市町と関わりを強く持った
泉田氏が候補者となった。ただ、昨年の知事選で自民党が推薦を見送った経緯があること、
泉田氏の出身が4区の加茂市であることなどから、一部の県議からは反発する声もあった。
しかし選挙戦では、県知事として3期12年務めたことによる高い知名度と実績に加えて、長島
氏の後継候補としての立場を前面に押し出して選挙戦を展開。全般的に優勢に選挙戦を進め
た。
だが柏崎刈羽原発の再稼働を進める自民知事時代からの変節を指摘する声は最後まであっ
た。当選したとはいえ、相手候補の猛追を許してしまい投票の締め切りと、ほぼ同時の午後8
時過ぎに当選確実の報も流れたが、その後なかなか続報が出ず支援者らとともに開票を見守
ることになった。
それでも午後10時前に大勢が決まったとして、泉田氏は「選挙戦で5区を回り、皆さまから熱い
思いをいただくとともに、長島先生の足跡を感じた。国政に、この声を生かしていきたい」と述
べ、集まった支援者らとともにばんざいをした。

大都市との格差是正、原発政策は中から

 支援者らを代表して、磯田達伸長岡市長は「地方行政は大変な問題を抱えている。長岡、新
潟のために働いてくれると、大変心強く思っている」と、長岡市議会の丸山勝総議長は「一生
懸命、地域のためにがんばってほしい。課題山積の5区を、よろしくお願いしたい」と、それぞ
れ当選を祝していた。
 国政での初当選を果たした泉田氏は「大勢の人に支えられての当選。長島先生の遺志を引
き継ぐ、大都市との格差是正、与党として中から原発政策の是正を図る――この3本柱の政
策を達成していきたい」とした。選挙期間中に争点となった原発再稼働問題については「稼働
の議論よりも、(福島第1原発事故の)検証と総括が先という知事時代からの考えは変わって
いない。原発政策の実態を知らない人はまだ多く、そこを意識してもらうように、まずはしたい」
と、話した。
 自民党の星野伊佐夫県議は「昨年の参院選で敗北し、今回も同様の形での選挙で厳しい戦
いになった。当選をしたが、5区では長岡の市街地と中山間地では要望が全然違う。それを勉
強して、色々と苦労をすることで、長く続けていける議員になってほしい」と話していた。

オール野党で臨むも大平氏は届かず

 一方大平氏は、共産、社民、自由、民進の4党と連合新潟、市民連合などからの推薦を受
け、「オール野党」で選挙に臨んだ。5区では補選の前から、オール野党での候補擁立が模索
されていたこともあって、全国的にみれば比較的スムーズに共闘が実現している。しかし、衆
院解散前後の混乱の影響は大きく、大平氏が万全の体制で選挙戦に突入したとは言い難か
った。
 前魚沼市長だった大平氏は魚沼地域での知名度は高いものの、それ以外では知事であっ
た泉田氏との差は大きい。それにもかかわらず、原発再稼働反対・原発ゼロを前面に出した
選挙戦を展開し、終盤には陣営からも「手応えを感じる」との声が出るまでになった。
 結果は、選挙前に当選ラインともいわれた8万票近くを獲得したが、約1万2000票差で敗
れた。午後11時過ぎ、選挙事務所に集まった支持者らの前で大平氏は「国政への初挑戦で、
私の知名度が低く不安もあったが、終盤はいい形になった。こういう結果になったが、原発再
稼働の問題などはここでストップするということではない。これからも何か力になることがあれ
ば精一杯がんばりたい」と、支持者らと握手をしたり、抱き合ったりしながら会場を後にした。
 国防力強化や消費税の減税などを主張した幸福実現党の笠原氏は及ばなかった。

2、4区では無所属の民進党前職が当選

 また、2区では鷲尾英一郎氏、4区では菊田真紀子氏と、ともに民進党前職でありながら、今
回は無所属での立候補を余儀なくされた2人が当選を果たした。落選した2区の自民党前職
の細田健一氏は比例での復活当選を果たしたが、4区の金子恵美氏の復活はかなわなかっ
た。
 このほか、1区では立憲民主前職の西村智奈美氏、3区では無所属前職の黒岩宇洋氏、6
区では自民前職の高鳥修一氏が当選した。1区と3区の自民前職の石崎徹氏、斎藤洋明氏
は、それぞれ比例復活当選となった。これにより、県内の衆院議員は小選挙区当選の6人、
比例当選の3人の計9人(自民5人、立憲民主1人、無所属3人)となった。

自民が圧勝し絶対安定多数を確保

 衆院では、ことし7月に公職選挙法が改正・施行され、小選挙区が295から289に、比例選
挙区の総定数が180から176に減らされ、定数が475から465議席に変更された。合わせ
て97小選挙区で区割り変更もされている。この影響で、自民党では一部で無所属で2人の候
補者を立て、当選者を追加公認するなどの対応をする例もあった。
 今回の衆院選は、解散前後から野党を中心に新党結成などの動きがあって情勢が流動的
だった。さまざまな混乱が起きた。新潟では、希望の党からの立候補者がおらず、与党と野党
連合の事実上の一騎打ちという分かりやすい構図となり、小選挙区では野党側が4勝2敗と勝
ち越した。
 しかし、全国的には自民・公明の連立与党、希望・維新の保守系野党、共産・立憲民主・社
民などのリベラル系野党の三つ巴の選挙区も少なくなかった。北海道や新潟、沖縄など野党
共闘が実現した地域では野党側は善戦したが、それ以外では自公が激戦区で競り勝つなどし
た。
 結果として自民党は単独で、国会を安定的に運営できる絶対安定多数の261議席を大きく
上回る284議席(追加公認を含む)を獲得した。連立を組む公明党と合わせて、憲法改正発
議に必要な定数の3分の2(310議席)を越える議席を確保している。

憲法改正発議への3分の2を確保―自民

自民党は青森、秋田、山形、群馬、富山、石川、福井、岐阜、奈良、鳥取、島根、岡山、山口、
徳島、福岡、大分、宮崎、熊本の18県で小選挙区全勝を達成した。兵庫県でも自公で全ての
小選挙区を制した。
 野党では、立憲民主党が公示前から3倍の議席へと躍進した。一時は自民党を脅かす存在
ともなった希望は、代表の小池百合子都知事の「排除」発言などが影響し伸び悩み。共産党は
政権批判票が立憲民主に流れたこともあって、前回から議席を半減。維新はかつての勢いは
なく、おひざ元の大阪の小選挙区でも敗北するなどして議席を減らした。
 選挙の争点の1つとなった憲法改正は、自公で発議が可能な3分の2の議席数を確保した。
野党第一党の立憲民主は安倍政権での改憲には反対の立場であり、また改憲派でも自民党
の改憲案に全面賛成というわけでもない。だが改憲を主張する希望、維新も加えれば改憲派
が8割あまりを占める状況である。選挙の結果は改憲を早める政治状況を現出している。
今後論議は高まっていこう。

自民一強がさらに強まる

 野党の今後は見通せない状態である。立憲民主、希望、無所属と3分割された旧民進党の
議員が今後どうするのかも流動的である。民進党の参議院議員や地方組織なども、どうなる
のか不明瞭である。
県内の小選挙区で当選した無所属前職の3人が、今後どの政党に所属するかも注目である。
選挙が眼前に差し迫っていたことから勢いで押し切っていた部分も多くあり、野党全体を巻き
込んでの再編へと向かう可能性は高い。前原氏の決断は厳しい政治状況を生んだ。
 ともあれ、余程のことがない限り2019年春の統一地方選と夏の参院選まで大規模な選挙
はない。安倍首相が自民党総裁選に3選。政権を引き続き担うことになると思われる。当面は
自民一強の安倍政権が続くことになる。
 このほか、大型台風の影響により九州などの離島部を中心に即日の開票作業ができず、翌
日以降に持ち越されたため最終的な結果の確定が遅れることになった。




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