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竹姫工房わしま(和島地域小島谷)は、荒廃した竹林の整備に取り組む。伐採した竹を粉末
にして乳酸発酵させた土壌改良剤「竹パウダー」の販売を本格化させた。同工房の大矢富士 男代表(71)は「竹パウダーを中心に、年間を通じてやっていけるような仕組みを作っていきた い」と意気込んでいる。
全国で竹害が問題に
日本では古くから竹は、生活用品の材料や食材として用いられてきたが、現在はプラスチッ
クをはじめ科学素材などで代替、あるいは外国産の安い竹材の輸入などから国産竹材の需要 が低下した。このため、管理されない竹林が増えている。このため竹の繁殖力が強いこともあ って、周囲の土地を浸食する事態が生じ、竹害が全国的な課題となっている。管理された竹林 は高い防災効果を持つが、放置されると地すべりの要因となったりする。こうした点も問題視さ れている。
同地域の周辺は孟宗竹が竹林を形成している。県内でも有数のタケノコの産地で質も良い。し
かし、住民の高齢化などにより竹林の管理や保全が難しくなってきた。放置された竹林が拡大 し、竹害も起きている。
その対応をどうするか、問題視されるようにもなっている。
住民有志で竹姫工房を設立し新商品を開発
そうした中で、自宅裏山の竹林が荒れていることに危機感を持った大矢さんが仲間に声を掛
け、2017年に小島谷集落の住民有志8人を中心に同工房を設立した。
地元の森林組合から指定された場所や共同墓地で竹の伐採を行い、林野庁の森林整備を促
す「森林・山村多面的機能発揮事業」にも採用になった。
同工房では同事業の補助金を活用して木の粉砕機を導入。さらに「ただ竹を切っているだけ
では先がない。伐採費用をまかなえるような商品を開発しよう」と、竹を活用した商品の研究も 始めた。昨年には、肥料として使用できる竹パウダーを開発し、秋に地元の道の駅「良寛の里 わしま」で販売を開始している。
竹パウダーは、伐採した竹を1カ月ほど乾燥させ、粉砕機で粉末状にして真空密封する。さら
に1カ月ほど乳酸発酵させることで完成する。
長さ4bの竹から約15`のパウダーができる。畑や水田にまくと、微生物の活動を向上させた
り、水はけを良くしたりといった効果があるという。
昨秋から始めた道の駅での販売は好調で、米や野菜の栽培で竹パウダーが用いられている
という。ほかの地域での竹パウダーを用いた事例では、乳酸菌の効果で土がよくなり作物の味 もよくなったとの効果報告がある。
大矢さんは「今は効果を検証する時期。使った人の生の声を聞きながら改良もしていきたい」
と話す。
プラスチック製品規制の流れはビジネスチャンス
同工房では、今春に新たに5人がメンバーに加わり、現在は13人で活動している。今年は年
間1000本を伐採し、1万5000`のパウダーの製造を目指す。
大矢さんは「無理をしても仕方がないので、気楽にやっていこうというのもある」としながらも、
「令和の時代は、これまでの使い捨てから、いいものを使う本物志向になるのではないかと思 っている。プラスチック製品規制の流れの中で竹への注目も高まり、そこにビジネスチャンスが あるのではないかと思う」と夢を広げる。さらに竹炭の製造や食品の開発なども進め、将来的 には地元の新しい雇用の場にしていきたいと張り切っている。
竹パウダーは、道の駅「良寛の里わしま」で5`900円、10`1600円で販売。問い合わせ
は、生産事業に関しては大矢さん(рO90―7638―6717)、購入に関しては同駅(41―8 110)へ。
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