長岡新聞:トップ
社主のプロフイール 
購読の申込みメールでOK。 1か月1851円です。
ライターを募集しています(0258−32−1933:希望の方は星野へ) 
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』:詳しくはこちら
川柳、俳句、短歌に投稿しませんか:詳しくはこちら

悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.1041:地域活性化と原発
(5月18日分)

長岡では田植えがおおむね終わったようである。田に水が張られ、植えたばかりの早苗が風
に揺らいでいる。何やら頼りなげであるが、その緑が秋には黄金色に輝き、豊かな実りをもた
らす。米作りとはその日を楽しみにする営みなのだろう▼機械化も進んでいる。1町歩を超え
る広い田の代かきも瞬く間に終わる。畔ぬりも早い。田植え機の威力は驚異的である。昔の田
植えは腰を痛めながらの重労働であったが、今は明るさがいっぱいである。見ていると胸が躍
る▼水管理も合理的である。おかげで水不足はあまり聞かない。渇水期に欠かせない「水番」
も過去のもののようだ。陽を浴びる早苗の姿が可憐で、夜ともなれば幾千もの月が水面に映
える。うるさいほどのカエルの声も郷愁を呼ぶ。すべてふるさとの魅力である▼米作りは八十
八の手間暇がかかるというが、そのすべてが絵になる時代になった。だからその風景を「借
景」として観光に取り入れる。屋内にいながらにして田の緑を楽しむケースである。田の向こう
に山容が迫る。あるいはのどかな山村の風景が広がっている。それを眺めることで、癒しを提
供する。田の風景を最良の景色として扱い、観光に利用するケースも多くなった▼今では、全
耕地の約4分の1が米を作っていない。それでも、米の需要は十分に賄えるようだ。県の農業
関係担当者は、本県の米作りは全国一の効率と胸を張る。冬の間完全な休耕のなかでの日
本一である。高い効率なのだろう▼頼りなげな原発が稼働をやめて久しい。福島原発は廃炉
する方向にある。だがどれ程の時間と費用がかかるのか。想像もできないような金額が飛び
交っている▼クリーンで低廉なコストとされた原発であるが、福島の事故はそうではないことを
まざまざと示した。被災者は今も故郷に帰れない。安全基準は見直さなければならないし、
個々の原発の実情もチェックしなければならない。大変な手間暇がかかるが、省略はできない
▼いっそのこと稼働停止のままが妥当でないかとの声は強い。今も原発の大部分は稼働して
いない。それでも、停電などの事態は生じない。家庭の電力も工場の電力も間に合っている。
日本は原発に依存しなくとも電力の供給力は十分のようである。だから原発停止・廃炉論には
説得力がある▼だが、原発に依存した地域経済は簡単には切り替えができない。個々の原発
立地地域は再開を待ち望んでいるようだ。高浜原発(福井県)も再稼働した。「雇用を生む基
幹産業」とされ「経済的な恩恵を受けているのは事実」との認識は、全国の原発立地市町村に
共通の思いなのだろう▼昔、柏崎原発の経済効果計算を試みたことがある。このため新潟大
学の某教授に指導をお願いしたら、経済効果は使ったお金に比例するもの。原発だから高い
とか低いとかはない。原発もカジノもレジャーランドも、投資金額が同じならば経済効果も同じ
と諭された▼原発依存を続けようとする動きが強い現状であるが、某教授の言葉通りであれ
ば、地域活性化への道は多様な選択肢が広がっている。(とけいそう)


ライターを募集しています(0258−32−1933:希望の方は星野へ) 
購読の申込みも同番号へ
トップへ
戻る