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悠久録(過去の悠久録はこちら)
(7月24日分)
日本の夏はいつも暑い。25度以上の夏日が続く。この暑さは昔以上なのだろう。気象庁が「猛
暑日」を使い始めたのが2007年の4月1日から。電波に乗って次第に広がり、2008年発刊 の『広辞苑』(岩波書店)第6版に早速載った▼使われ出した新語を辞書に載せるには議論が あるもの。それでも「今後は頻繁に使われる」との判断があったという。編集子の面目躍如が 際立っている。日本人は夏の暑さにとりわけ深い思い入れをもつ証左でもある▼『広辞苑』で 夏の風物詩をたどるといくつもの懐かしい言葉が出てくる。「簾」(すだれ)は障子や襖(ふすま) を取り払って吊る。「簀戸」(すど)を入れて涼しげな雰囲気を演出する。庭からの風が入れば このうえない。ついでに風鈴を吊ろうか▼だがやはり暑い。「寝茣蓙」(ねござ)を蒲団の上に敷 けば夜具の温かみと体温を防ぐことができる。午睡に使えば、快適な眠りに落ちる。「陶枕の ひえのまにまにわが昼寝」(皆吉爽雨)▼「籠枕」(かごまくら)はクジラのひげや竹、藤などで編 んだ枕。中が空洞だから頭がひんやりする。焼き物の「陶枕」(とうちん)もひんやりする。青磁 でできた枕や竹の枕、木の枕等夏の暑さをしのぐ工夫は枚挙に暇がない。さらに「竹夫人」(ち くふじん)は和式抱き枕。竹で編んであり中が空洞になっている。これを抱えて寝れば足や手 が重なっても汗ばむこともない▼このような夏のツールは次第に影をひそめ、エアコン全盛時 代になった。それでもそれらは日本の夏にぴったりである。(とけいそう)
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