![]()
購読の申込みメールでOK。 1か月1851円です。
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』:詳しくはこちら
悠久録(過去の悠久録はこちら)
(8月12日分)
今年も長岡花火は素晴らしかった。広くなった観客席も良かった。冒頭に上がる白い花火は、
何故か観る者の心に迫り、涙を誘った。花火師嘉瀬誠次さんが創りあげた花火である。シベリ ア抑留の中で命を失った戦友への思いを託したという▼白い花火は10号。「白菊」という。まだ ほんのりと明るい空にアナウンスが響いて長岡の花火大会が始まる。「平和への祈りと戦災殉 難者への慰霊を込めて、長岡まつり協議会がお送りします。大河信濃川から世界へ届け、平 和の祈り―――」と。「白菊」はゆっくりと、とりわけゆっくりと昇り、静かに開く▼嘉瀬さんは「大 きく、しんなりと」と表現する。花火玉がわれて広がる時間がほんの少しだけ長い。それが観る 者の心を打つ。シベリアから戻ることができなかった友への思いは、米軍機による空襲に殉難 した者への慰霊に重なる。だから色は白でなければならない▼嘉瀬さんが打ち上げる花火は いずれも魅力に満ちている。とりわけ白は人気だった。明るく輝く白が、観る者の心に迫った。 此の時ばかりは、花火会場は静かである。じっと見上げ、胸に手を当て、その先を見詰める。 白であるが故に鎮魂にふさわしく、「白菊」は長岡花火の意義を語っている▼来年はハワイで フェニックスを打ち上げることが決まった。そのこともあってか、今年はホノルル市からも「白 菊」の提供があった。いつもの年より多い白い花火は、お盆(盂蘭盆)の時期にも重なって、帰 らぬ人を思い出させてくれた。(とけいそう)
記者を募集しています(0258−32−1933:星野へ)
購読の申込みも同番号へ
![]() |