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No.972:認知症高齢者見守り事業

小説家の有吉佐和子氏(1931〜1984年)の『恍惚(こうこつ)の人』(新潮社・1972年発売)
は、発売と同時に注目を浴びた。同著は痴呆(ちほう)・徘徊(はいかい)などの症状をもつ高
齢者の介護問題にスポットをあてる▼おかげで「恍惚の人」は時代の流行語になった。恍惚と
は人を認識できないまま日々を過ごすひとのこと。いまでいう認知症である。「老いて病み恍惚
として人を知らず」と古書にある言葉が小説の題名になった▼発売当時、認知症はまだ家庭
内の問題にとどまっていた。だが多くの国民が悩んでいたのだろう。発売と同時にベストセラー
になり、映画にもなった。有吉は高齢化社会の課題を先取りしたのである。同著を契機に認知
症は高齢者特有の病気であることが世間に認知されていく▼出版元の新潮社は売り上げ好
調でビルを新築した。このビルは後に「恍惚ビル」と呼ばれたという。それほどに同著の反響は
大きかった。今では介護の施策も行き届いてはいるが、相変わらず家族の負担は大きい。し
かも認知症は徘徊を伴うこともある。不測の事故の懸念がある▼長岡市内在住の某氏は、町
内に複数の徘徊癖の老人がいると話す。それぞれ博識で町内をリードしてくれていた人である
が、最近は痴呆らしい。徘徊が始まってきた。そこで某氏は、コミュニティセンターの協力を得
て、徘徊老人を探すための自主訓練を行うという。新発田市では「認知症高齢者見守り事業」
をはじめる。国も動き出した。徘徊にも社会の支援が届こうとしている。(とけいそう)

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