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No.986:長岡現代美術館と駒形十吉
((10月22日分)

長岡商工会議所(坂之上町2)の1階には昔、「長岡現代美術館」があった。館長は駒形十吉
(1901〜99)氏。銀行のオーナーだった▼米穀商・醤油醸造業の家に生まれた駒形は、美術
を愛した。「昔は美術を愛好し、擁護したのは殿さまであり、大地主であり、大富豪だった。近
代国家になるとそれができない」との嘆きが、駒形を突き動かしたのだろうか。その収集品は
「大光コレクション」と称されるまでに成長する▼1964年8月には、「長岡現代美術館」を開館
した。「現代」を冠した美術館は日本初。大きな注目を集めた。現代作家を中心に収蔵を進
め、美術館賞も始めた。審査員を海外からも招聘し、日本人の審査員と共同での審査をした。
しかも公開の場で行った。その斬新さが、さらに世間の耳目を集めた▼長岡は城下町で、文
人・書画の伝統がある。大商人は芸術家のパトロンだった。駒形もその伝統を引き継いだの
だろう。戊辰戦争と太平洋戦争の空襲で、多くを焼失した長岡であるが、そのような伝統は、
脈々と生きていた▼だが「長岡現代美術館」はすでに無い。後ろ盾になるはずの銀行が、過剰
融資で苦境に落ち込んだためである。収蔵作品は各地の美術館に散った。それでもかなりの
作品が県立近代美術館(千秋3)と駒形十吉記念美術館(今朝白2)に残っている。そして建物
も健在である。その外壁には斎藤義重(1904〜2001)のオブジェ『大智浄光』が輝いている
▼町の再開発が控えているが、町なかに残る文化の遺構を私たちは誇って良い。(とけいそ
う)




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