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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.993:誰かの汗の結晶
(11月10日分)

ある登山愛好家の投書が某紙に載っていた。いわく。著名な百名山の一つに登ったところ、登
山道の整備が不備であった。夏草が道に繁ったりして足元が悪い。ロープなどの危険回避装
置も劣化していたと指摘する▼下山後、地元の市役所に意見をしてきたという。その上での投
書であるから、快適な登山にならなかったにちがいない。とはいえ相手はかなりの高山であ
る。その手入れは平場のようにはいかない。手入れが追いつかないこともあるだろう。行政依
存は予算面からも限界がある▼長岡の悠久山公園は、大正時代に還暦を過ぎた財界人が
「令終会」を結成して、造りあげた。メンバーは人生の終わりを有意義なものにしたい。社会に
貢献したいとして公園のほか、町の中心部からの道路も建設。栖吉川には「令終橋」を架け
た。費用はすべて私財を拠出したという。しかも建設後、一切を長岡市に寄付し、なんらの見
返りも求めなかった。その所為は、なかなか真似ができることではない。だが、私たちの先輩
はそのようにして郷土を創ってきた▼今の時代は各種の助成金を初め、国からの援助が多
い。それを当てにする経営者も少なくない。そのこと自体は産業の育成や経済の活性化に有
意義なことではある。だがなにもかも行政に依存するのであれば、悠久山公園は生まれなかっ
た。快適に維持し続けることも難しかっただろう▼今も公園に桜を寄贈する人、園内のトイレを
掃除する人など、有徳の士は多い。私たちが享受する快適さは、誰かの汗の結晶であることも
事実である。(とけいそう)



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