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愛縁奇縁
No.114:対米協調を強化する日本


〇昭和16(1941)年の今日3月10日は、治安維持法が制定された日である。中国大陸での
戦争が泥沼化し、日本は進退窮まっていた。そうしたなか、米国との協調も破たんしつつあっ
た。
郷土の先輩山本五十六が奔走したが、中国での戦争は終わりそうになかった。むしろ米国と
の開戦が避けられない雰囲気になっていた。騒然とした時代の立法だった。

○治安維持法は、強権力を発揮した。当時の世相は、本紙に連載中の『近代日本民衆史の
世界第二部―風と水のリズムを求めて―』(加賀誠一著)に詳しい。逼塞した時代は米国との
協調に失敗し、パールハーバーの奇襲に至ってしまう。
だが結果は日本の主要な都市が灰燼になり、広島・長崎の原爆で終わった。長岡空襲は終戦
の2週間前だった。

○今にして思えば、この日成立した治安維持法こそ、太平洋戦争への大きな一歩を決めたと
もいえる。
戦後70余年が経過して日本は豊かさを享受している。世界でも有数の大国は自信がついてき
た。さらに豊かになりたい。世界に貢献したいとの思いが強まったのだろう。それは平和への
希求と表裏の関係でもある。
有権者が選択した選挙結果は新たな始動を始めている。

○大きな変化は憲法の改正論議であろう。とりわけ9条に論議が集まっている。
9条のおかげで日本は人的物的資源の全てを経済拡大に投じることができた。軍事力が過小
でも他国との軋轢が最小限で済んでいた背景には、米国の力があった。
日米安全保障条約を選択した日本は、敗戦のなかでやむを得ない選択だったとしても、最善
の選択をした。今の繁栄はそのような平和が築いたものである。
その一方で、非戦の誓いの象徴でもある9条は、形骸化した。時代は動いているのであって、
改正論議は現実に合わせたいとの思惑でもある。

〇昨年は閣議で「解釈」を変更。集団的自衛権への道を開いた。わが国への攻撃が生じた場
合や明白な危機、事態が切迫しているときには自衛権を行使する。さらに他国が攻撃を受け
た場合も同様な発動をする(「存立危機事態」)。この場合の「他国」とは、友好国を指すが、現
状ではたぶん米国を想定しているのであろう。
政府はこれらを武力攻撃事態法(平成15年6月13日法律第79号))改正案に盛り込み、今国
会での可決を目指している。
自衛隊法3条も改める。集団的自衛権を自衛隊の主たる任務に変更する。文民統制も改め
る。

〇国家政策の大転換がスムーズに進もうとしている。
新たな集団的自衛権へのかじ取りは、世界に果たす日本の役割を変えていくに違いない。(黄
色い風見鶏)


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No.113:「いまだ木鶏にたりえず」
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