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No.116:新潟県の大公害 新潟水俣病に判決
国・県の責任を認めず

〇新潟水俣病は、水俣病(熊本県)、イタイイタイ病(富山県)、四日市ぜん息(三重県)とともに
4大公害病とされる。
その補償ほかを訴える裁判の判決が23日、新潟地方裁判所で下った。原告10人のうち7人を
患者と認め、加害企業である昭和電工梶i東京都港区)に対して、1人当たり330万円から44
0万円の支払いを命じた。総額は2420万円。
 だが国と県に対する請求は棄却、訴えを認めなかった。

〇企業活動がどのような災厄をもたらすか不明、あるいは漠然とした知見のまま、産業活動が
進み公害が発生した。
本県では同社鹿瀬工場が水銀を含む工場廃液を阿賀野川に垂れ流し、流域住民が水銀中毒
にり患した。1965年に原因が公式に確認され、「新潟水俣病」(あるいは第2水俣病)と呼称
された。
この裁判は「新潟水俣病」の患者が公的な認定と補償を求め、同時に国や県の責任を求める
訴えだった。

〇長い裁判である。今になって振り返れば、熊本で水俣病が発見されて以降、同じような水銀
廃水を持つ工場の流域一円に対して、注意報を出しても良かった。水が危ない、川魚を食べ
るな、と。さらに公式確認(65年)以前でも、国や県は工場排水を規制すべきだった。汚染され
た魚を捕食しないよう行政指導もできたはずである。だが行政は動かなかった。 
それを問うたのであるが、原告の主張は認められなかった。

〇本判決では、チッソ水俣工場と同種の工場であるとの認識を、国は59年にすでに持ってい
たはずと認めている。それならば、予見できたとして責任を認めても良いのではなかったか。
そのように思うのであるが、判決は「国や県は患者の発生を認識していなかった」などと述べ
て、違法性は問えないと判断する。
水俣病(熊本)についての最高裁判決(2004年)では行政の責任を認定したが、新潟では異
なる結果が出た。

〇同社は「別の病気の可能性がある」とまで主張した。しかし判決は補償を認定。企業の責任
を冒頭の2420万円としたのである。
だが双方に不満が残り、双方共に控訴した。
同社のホームページを見ると経営理念に「社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製
品・サービスの提供」とあるのが、白々しい。
新潟水俣病裁判はまだまだ続く。企業に問われることはさらに重くなっている。

水俣病と新潟水俣病
両者ともに水銀中毒である。メチル水銀を含む工場廃液を河川に垂れ流した結果、水銀が魚
介類に蓄積し、これを捕食したためにり患した。
▽水俣病=加害企業はチッソ梶B病気との公式確認は1956年。公害認定は68年。被害者
への本格的な補償は74年から。この時に国が決めた「認定基準」をもとに行政が審査して患
者と認定された人に、加害企業が補償する仕組みができあがった。2004年に最高裁判所が
国などの責任を認めている。
▽新潟水俣病=加害企業は昭和電工梶B1965年に確認。71年認定患者らが損害賠償を求
めて訴訟(1次訴訟)し、患者側が勝訴した。82年2次訴訟、96年4次訴訟がありいずれも201
1年に和解している。3次訴訟は和解せず今回の判決になった。


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