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愛縁奇縁
「
〇国会に招致された3人の憲法学者が、現在審議中の安保法制についていずれも違憲であ
ると断じた。政府は大慌てである。慌てふためいて、「いや、憲法に違反していない」と声を荒 げる。
あまつさえ「人選を間違えた」という。3人の憲法学者を選んだのは自民党である。「人選が正
しければ」違憲の判断は出なかったと言いたいようである。これでは専門家の声を謙虚に聴い て国の方向を考えようとの姿勢は無いと同じではないか。
自民党高村正彦副総裁は「国民の命と暮らしに責任を持つのは憲法学者ではない」と専門家
の判断に異を唱える。そして「政治家が国民の命と暮らしに責任を持たなければならない」と声 を張り上げた。余りにも威圧的で傲慢。国民不在の感覚で本当にびっくりする。
〇3人の憲法学者の内、長谷部恭男氏(早稲田大教授)と小林節氏(慶應大教授)が6月15
日、東京有楽町の外国特派員協会で記者会見した。2人は政府が国会に提出している安保法 制について。「撤回すべき」だと声を揃えた。
違憲との判断が明快である。
長谷部教授は「核心的な部分、つまり集団的自衛権を容認している部分が、明らかに憲法違
反だ」という。安保法制でいうところの集団的自衛権の行使は、「他国軍隊の武力行使と自衛 隊の一体化をもたらす」と指摘した。
〇小林教授は「違憲というのはもちろん」と断定したうえで、「憲法違反がまかり通ると、憲法に
従って政治を行うというルールがなくなって、北朝鮮みたいな国になってしまう」という。日本の 今のやり方は法令無視と言いたいのだろう。
そして「安倍さんの言うとおりにしたら、日本の自衛隊はアメリカ軍の二軍になっちゃって、日本
は傷ついたうえに破産してしまいます。何一ついいことはないですね」と警鐘を鳴らす。一言で いえば、自衛隊が米軍の盾になるということだろう。自国の軍隊が他国の盾になるのは確かに おかしい。今論議されている安保法制は、種々の歯止めを設けるとしているが、一言でいえ ば、米軍の盾にすることに他ならないのか。
こうなれば「撤回すべきで、撤回しないなら選挙で倒すべきだと思います」と語気を強める。
〇外務省のホームページには、「安全保障に関する世論調査」結果が載っている。(平成14年
3月、全国20歳以上の男女2000人へのアンケート調査、有効回答1397人)
同調査の第1問が「現在日本は安全で平和であると思いますか」と日本の平和と安全に対す
る意識を問うている。この回答の半数以上(54%)がそのように「思う」と答える。
さらにその理由につては「平和憲法」が64%、「アメリカとの同盟関係」が51%、「非核三原則」
が46%である。「自衛隊の存在」は12%である。
調査結果から見る限り、政府与党の対応は、国民目線にあわない。
〇長谷部教授は、「集団的自衛権の行使が違憲だという結論は、長年にわたって、複数の政
府機関が徹底的で入念な熟議を経て出されたもの」と指摘。こうした法制度検証の成果が、 「時の首相の好みで変更できるなら、政治権力を制限するという憲法の役割は消失してしま う。憲法条文のどんな解釈でも可能ということになってしまう」と、危機感を表明した。
急ぎ過ぎる論議は、国論を2分する事態になった。
(社主)
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