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愛縁奇縁
No.126:集団的自衛権決まる
融通無碍な安倍首相

〇「融通無碍」(ゆうずうむげ)は、行動や考え方が、自由で何の束縛も受けず、伸び伸びして
いること。そのような生き方を指す。
反対の意味では「四角四面」がある。自分の心をかくあるべしと、がんじがらめに自分を固定
化する。そのような生き方である。
「この道一筋」は時に他者との摩擦を生みかねない。あまりにもかたくなな信条は共感者を得
にくいかもしれない。「融通無碍」はそのようなことはないから、人生を豊かにするかもしれな
い。
とはいえ、「過ぎたるは及ばず」であって、極端な「融通無碍」は信頼を失う。「四角四面」も極
端になれば、ただの頑固オヤジである。

○安保法制の関連法案が一括して衆議院で可決した。これから参議院へ送致され審議が重
ねられる。
 だが一般の法案は衆議院で可決された後は、参議院で審議未了となっても60日の時間が経
過すれば成立する(憲法第59条=「自然成立」)。2院制の結果何事も決まらない場合の混乱
回避策であって、衆議院の議決を優先する制度である。時間が経過するだけで法案が有効に
成立するのだからまことに便利である。
 1960年の日米安全保障条約改正の時も「自然成立」だった。
デモ隊が国会を取り巻き騒然とした世相で、当時東大生だった樺美智子さん(22)は警官隊と
デモ隊の乱闘の中で死亡した。それほどに激しい反対運動だった。それでも法案は「自然成
立」した。
当時の首相は岸信介氏。安倍晋三首相の祖父である。何やら因縁めいていて審議もろくにし
ないで、今から「自然成立」しそうである。

○さて冒頭の「融通無碍」と「四角四面」である。昨年の憲法解釈変更から今日まで、安倍首相
の言動はまさに「融通無碍」であった。憲法解釈だけでなく、「国民の理解は深まった」と一貫し
て抗弁していたのに、最終局面では「国民の理解は得られていない」という(7月15日国会審議
で)。まことに「融通無碍」で、禅問答みたいだ。
だが法案を通したいとの思いは固かった。祖父のように歴史に名を残したいのか。首相は「友
人の危難のさいは、自分は駆けつける」という。それはだれでも思うことである。それ自体は正
しいが、国家の場合は駆け付けるのは自衛隊員であって、首相ではない。すべてのリスクは国
民が負うことを忘れてはならない。

○戦後70年。日本は大きく進路を変更する。直近の選挙で私たちは自民党を選択してきた。
民主党は「反対!」と悲痛な声を上げているが、方向は決まってしまった。
米国との集団的自衛権の発動で日本は、米軍と共に世界のいたるところで戦争に参加するこ
とになるのだろう。人命も失われるかもしれない。それでも日本は一歩踏み出した。
 この決断が私たちに何をもたらすのか。リスクだけが増加する愚劣な選択にならなければ良
いが。
(社主)


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No.125:「人選を間違えた」憲法論議
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