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愛縁奇縁
〇アリは働き者である。地中に家を作り、せっせと食料を運び蓄える。キリギリスはアリが働く
様子を眺めながら、音楽を奏でる。聞くものをうっとりさせるが、次第に寒さが募る。ついにアリ の家を訪れて食料と一夜の宿を乞うのであるが、アリは働かなかったキリギリスに冷たい(イソ ップ寓話『アリとキリギリス』)。
○この寓話は、ギリシャを彷彿させる。「ギリシャ人はみんな税金逃れをしようとしている」とIM
F専務理事が発言した(2012年)。勤労意欲は低いのだろうか。
EU(欧州連合)から10年に約15兆円、11年に約18兆円借金した。このときは緊縮策・財政再
建・経済成長を約束したが、なにも改善せず、そのうえ返済できないという。
ギリシャが発行した赤字国債の大部分は、ドイツをはじめEU諸国が購入している。日本が国
内で消化しているのとは大違いである。ドイツやフランスにとってギリシャの動向は自らの資産 の問題である。
その分、言葉はさらに厳しくなる。
○ギリシャが導入した統一通貨(ユーロー)は、EUが99年1月1日に開始した。ドイツやフラン
スと同じ通貨を使用するのだから、国力も同じく健全でなければならない。ユーロ導入には財 政基盤について厳しい条件をつけた。同時に欧州中央銀行(ECB)が統一的に金融政策を担 うこととし、導入各国は独自の金融政策を放棄した。
通貨が同一であるから当然の決定であったが、ギリシャの財政は健全化しない。そのうえあろ
うことかユーロ導入の条件を満たそうと、国債の発行額まで改竄した。
○ギリシャのGDPは13年が約20兆円程度(IMF)で、マイナス成長が続く。資金はどんどん枯
渇している(日本は約500兆円・15年1―3月)。
ギリシャの失業率は25・8%(2014年10月)。4人に1人が失業者である。その上公務員の比
率が高い。全労働人口の25%という。年金もすごい。受給年齢が55歳で現役時と変わらない 受給額とか。
解決のためにはさらに資金を出さねばならないのか。それは盗人に追い銭ではないのか。EU
にとっては悩ましいかぎりである。
○それでも両者の交渉がようやく整い7月13日、EUが3年で約11兆円(860億ユーロ)を融通
することになった。
ただし財政改革が条件でこのため所要の法改正をEUは求めた。ギリシャはこれを受け入れ
て16日、改正法を成立させている。だが10、11年当時には成功しなかった対策が、これから成 功するのだろうか。
それでも資金繰りをつけなければリーマンショックの二の舞である。自らの債権も目減りする。
EUは頭が痛い。
○緊縮一本やりのEUやIMFの指導が奏功するかどうかには、疑問があるが、ギリシャの財政
再建は待ったなしになった。
それにしてもギリシャのケースは、過度な借金は外国の介入をもたらすと語る。日本も借金国
である。構造は異なるものの野放図な財政出動は警戒すべきだろう。
財政の自立はすべての要諦である。
(社主)
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