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愛縁奇縁
○日銀がマイナス金利を実施する。発表と同時に株価は下落、混乱が起きている。
銀行に預けたお金は安全である。インフレなどで貨幣価値が目減りすることはあるにしても、1
00万円のお金は100万円に変わりはない。
だが、マイナス金利の下では、預けた預金が目減りする。
○銀行は日本銀行に資金を預けている。これにつく利息をマイナス0・1%にするという(2月16
日から)。10億円を日本銀行に預けておくと、1年後は9億9900万円になってしまう。
ゆゆしき事態である。このマイナス金利は現在のところ日本銀行と銀行の間だけの取り扱いで
ある。だが企業や個人と銀行の間でも広がるかもしれない。
○銀行が日本銀行に預けている預金は何か。それは銀行がいつでも預金者へ払い戻せるよ
うにするための準備金(「預金準備」という)である。その金額は預金の残高ごとに割合が決ま っている(1957年・「準備預金制度に関する法律」)。
現状の所要基準額は全国銀行合計で概ね9兆円である。
だが黒田日銀総裁による異次元の金融緩和政策以来、この残高は膨張を続けてきた。今で
は230兆円を超え、基準超過額だけでも約221兆円になる(2015年12月末)。
○「預金準備」は当初無利息であったが、途中から若干の利息がつくように変わった。おかげ
で銀行は日銀へ預けておけば利息収入を得ることができた。
銀行経営は焦げ付きのリスクを乗り越えて融資するべきか、多少の金利でも安全を選び、日
銀に預けておくべきか、選択が可能だったのである。
だが景気は思わしくない。異次元の金融緩和からすでに2年経過して3年目にはいった。この
ままでは黒田日銀総裁が2年で達成すると豪語したインフレターゲット(2%)の実現は、4年た ってもできないだろう。
黒田日銀総裁は焦ったのでないか。対策はないのか。そして基準の25倍にもなった「預金準
備」に行き着いたのだろう。
○過大になった「預金準備」を銀行が企業への融資に回せば、景気上昇に貢献し、2%が実
現すると考えた。通常の景気対策は10兆円程度だったから、200兆円以上の資金が一気に 民間に流れれば、空前の緩和効果が期待できる。
マイナス金利はそれを狙っている。
だが融資にはリスクが伴う。簡単に融資に回るのか。金利はそれぞれに受け手が異なり、メリ
ットとデメリットがある。経済全体にどちらが大きく影響するかは、判然としない。
それでもマイナス金利がスタートした。
○預金金利はさらに下がることになる。大手銀行の一部には、企業からの大口預金にもマイ
ナス金利を適用するなどの声がでてきた。
一方で住宅ローンの金利が下がれば、住宅建築が活発化するかもしれない。どうせマイナス
金利なら使ってしまおうとの意欲が生まれるかもしれない。そうなれば、景気にはプラスになる かもしれない。
その一方で、少なくとも銀行の収益にはマイナスである。すでに預金保険料の負担がある。影
響は銀行に最も大きいだろう。株価は乱高下を続け、1万6000円を割りそうである。
初めての施策の行方が気がかりになった。(黄色い風見鶏)
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