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愛縁奇縁
(2016.5.10掲載)
2%は17年度に先送り
○日銀は4月28日、追加金融緩和の実施を見送った。さらに2%の物価上昇目標の達成時期
を「2017年度中」に先送りした。これでは市場にドウデモナレと言ったようなものだ。円相場が 3円も急騰し108円レベルになった。年初の1ドル120円レベルから10円余り進んでいた円高 に、さらに拍車がかかった。このままでは折角の円安が消えてしまう。株価も600円急落、1万 7000円を割り込んだ。
アベノミクスは失敗なのか。
○為替が円高になったピークは、直近では2011年10月だった。このとき円は対ドルで75円レ
ベルに突入した。円高であれば当然のことながらデフレになる。バブル崩壊以後の日本経済 はデフレ傾向であったから、デフレはさらに拍車がかかった。
為替も需給関係が左右する。多い通貨は安くなり、少ない通貨は高くなる。通常の商品と同じ
である。円がドルに対して相対的に少なければ、需要と供給の原理から円は高くなる。だから 円安にするには、強力な金融緩和(大量の資金供給)が最善である。
だが大量の資金を市場に供給すれば国家財政はさらに悪化、将来に禍根を残すと考えたの
だろう。地震の影響もあって当時の政権(民主党)は金融緩和は出来なかった。
○結果からみれば、民主党の金融政策は不十分だった。円を十分に供給しない日本に対し、
当時の米国は景気対策のため大幅な金融緩和をおこなっていた。だから相対的に大量のドル と少量の円が市場を構成し、為替はひたすら円高に進んでいた。1ドル50円になりそうな恐怖 をもたらしたのである。
結局、政権が変わり、黒田東彦日銀総裁が登場する。「黒田バズーカ砲」とも言われる異次
元の金緩和(2013・4・4)がはじまり、インフレ率2%実現まで資金供給を続けると宣言した。
この効果は大きかった。為替は反転する。安倍内閣の下で1ドル120円レベルまで円安が進
んだのである。同時に株価も上昇。2万円を回復した。
○最近の金融政策にはこのような背景がある。だが米国は金融緩和政策の変更(引き締め)
を模索し始め、ドル高傾向が出てきた。これに対し、日銀は冒頭に示したように、新たな政策 変更をしないという(現状維持)。国債を無制限に買い付け(資金を供給)、マイナス金利も導 入した(2月16日)あとは、企業の出方だけであったが企業は慎重である。
為替は昨年末に比較すれば円高であるが、それでもひところに比べれば随分円安である。株
価も高くなった。それは金融緩和がもたらした成果だろう。一方で企業の国内志向も進み貿易 収支も改善方向にある。金融緩和で資金は潤沢とあれば、国内投資は積極化しても良いので ある。そうすれば雇用の改善、消費の改善、企業収益の改善になるはずである。
為替をわずか数か月前と比較して、円高と嘆くのではなく、一層の積極性を発揮したいもので
ある。しかし、日銀の手詰まり状態も明らかになった。消費も伸びていない。これでは消費税の 追加使引上げはすべきではないだろう。
(黄色い風見鶏)
(黄色い風見鶏)
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