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愛縁奇縁:既往目次
No.154:東芝はアベノミクスで助かった?
資金余剰はいつまで続く

○東芝が増資をする。財務内容が劣悪であるとし、上場廃止が論議されていた。そうなれば資
金調達力が縮小する。非上場では財界で重きを成すことができない。だが膨大な債務超過を
解消する増資は「無理でないか」との見方がもっぱらだった。
それでも歴史ある企業の底力からであろう。6000億円の増資を12月5日実施するという(11
月19日公表)。

○それだけの資金をだれが出すのか。まことに興味深いことではあるが、このまま東芝が消え
てしまうのは惜しい。あるいはこのままでは終わるはずがないとの期待もあるのだろう。そのよ
うな総意が6000億円の増資にメドを付けたというべきだろう。
だが同社は粉飾問題の結果、東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されている。
これでは市場から広く資金調達をする公募増資はできない。第三者割当増資しかないが、何
が起きているかもわからない状態では、カネを出す人はいないであろう。

○そのような観測が流れていたのであるが、同社は第三者割当増資を決定した。この増資で
2期連続の債務超過を避け、上場廃止を何としても回避する腹積もりだ。
新株式は1株262円80銭で発行する。直近1ヶ月の株価から17・5%も安い。海外の数十のフ
ァンドなどが引受けるとのことであるが、増資による新株は、発行済み株式総数の5割超に当
たる。実に大量である。株価への下押し圧力は極めて大きくなるだろう。債務超過を回避し、
倒産のリスクを解消できても、東芝の株価は当面値上がりが込めない。

○そのような状況のなかでもカネを出すという増資引受先は、どのような資本家なのか。気が
かりである。
伝えられるところでは、エフィッシモ・キャピタル・マネージメント(旧村上ファンド出身者が設立し
た投資ファンド、シンガポールに拠点)など「物言う株主」を複数含むようだ。「物言う」ことが適
正な経営の監視役になるのか、あるいは、逆なのか。
いずれにしても、この増資で同社は東芝メモリの売却を避けることができる。同メモリは東芝全
体の営業利益の9割以上を稼ぐという。稼ぎ頭を維持できれば希望はある。だが、先行き投資
ファンドは出資分の買い戻しを要求するだろう。前途は多難である。

○それにしても、ナント大きな金額であることか。
バブル崩壊のきっかけにもなった山一証券の倒産(1997年)は、帳簿に乗っていない秘密の
債務(簿外債務)の存在で、その額は約2000億円だった。当時の山一証券はこれを計上す
れば債務超過になる。だから秘密裏に解消したかった。だがどうしても解消できなかった。そし
てついに倒産した。
山一証券の倒産に続いて三洋証券が倒産、北海道拓殖銀行も倒産。大手の大銀行も合併を
重ね、姿を変えた。県内では新潟相互銀行が倒産した。今から思えばわずか2000億円の金
でバブルが崩壊し、日本は未曾有の不況に落ち込んだといえる。

○東芝の事件は6000億円である。豊富な資金が東芝を救おうとしている。日銀の異次元の
金融緩和は資金余剰を生み、効果を発揮したといえるようだ。
それだけにその解消のリスクはさらに強まっている。(黄色い風見鶏)



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No.153:総選挙は課題解決への一歩
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