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○過労死が頻発し、労働の現場では何かが起きている。最近では県教育委員会の女性職員
(40)が、くも膜下出血をおこし職場で倒れた。急きょ入院したが3日後に死亡。40代はまだ若 い。勤務中に倒れての死亡は過労死でないのか。県は副知事を長に据えて実態の解明と新 たな「働き方改革」を実行するとしている。
女性職員の勤務実績は昨年超過勤務が673時間で、休日出勤日数は23日だった。だが、登
退庁簿によれば休日勤務は倍近い40日で超過勤務も700時間を超えていた。死亡は長時間 勤務が影響しているのでないか。
県教委は「平日も過小申請していた可能性がある」としている。
○ときあたかも政府は、「働き方改革」を推進すべく、今国会に法案を提出した。その中心は、
裁量労働制の適用業種拡大である。
その対象業種は現在のところ、毎日の業務成果が計量しにくい業種が中心になっている。たと
えば研究開発職、ジャーナリスト、大学教授、会計士、弁護士といった専門職や、経営企画部 門の社員など、一部の職種に限られている。政府案はこの範囲を拡大する。
○裁量労働制では実際の労働時間に関係なく、労使双方の協定で定めた時間(時間外勤務
も含む)だけ働いたと見なし、給料を支払う。時間管理を労働者に委ね、企業は成果(質と量) だけに注目する。
労働者が自発的に創意工夫して働けば、短時間で割り当ての仕事は完成するだろう。そうす
れば労働時間短縮になる。だが厚生労働省の資料には、1日24時間を超える勤務時間掲載 など、矛盾点が多く問題は紛糾した。
○給与は従来、労働の対価であるとされてきた。「働いた時間」に対しての報酬であって、「成
果」よりも勤務した「時間」にウエイトをおき、「成果」については別途、昇進とか昇級で報いた。
昇進も昇給もいらないとなれば、決まった時間だけ会社におればよろしい。休まず、働かず、
遅刻せずのサラリーマンが生まれることになる。
だが、それでは生産性は落ちる。国際競争にもまけるかもしれない。いかにして高いマインドを
維持し、チャレンジ精神を発揮させるか。いずれの企業も頭を悩ますテーマだ。
○政府は裁量労働制の範囲を拡大し、幅広い業種で労働者が創意工夫し自発的な労働を行
うことを期待している。政府の思惑通りにいけば、過労死などの問題もまず生じないとの趣旨 である。それでも割り当ての仕事達成のために頑張った結果、長時間労働に至る可能性は残 る。過労死への懸念も残る。しかも裁量労働制では時間外手当の支給はない。
冒頭に指摘した県庁の事案は裁量労働制ではない。だが課題を多く含んだ事態だった。「働き
方改革」が低コスト追求に偏重すれば、問題解決はほど遠いことになる。
政府は適用業種拡大は一時保留するとした。当然であって慎重な論議が必要である。
(黄色い風見鶏)
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