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○米山隆一新潟県知事が辞任する。4月18日の記者会見で公表した。
辞任の理由は女性問題という。インターネットの出会い系サイトで知り合った女性と、時々会っ
ていた。最後は昨年末とのことである。
米山知事は独身であるし、まったくのプライベートなことである。こうしたことから辞任を疑問と
する声もある。だが、この事実は週刊誌にも掲載になるとのことで、潔い辞任を決意したよう だ。とはいえ、一方では原発の再稼動を巡る種々の課題がある。突然の辞任は驚きである。
知事は17日の臨時記者会見では、1日ないし2日の時間的猶予を欲しいとして、辞任には逡
巡を示していた。翌18日、再度の記者会見で辞任を明言した。
○米山知事は原発再稼働に否定的な姿勢を前面に出して2016年10月の知事選挙に初当選
した。「現状では原発再稼働を認めることはできない」との言葉は、原発行政に対する強烈な 衝撃であり、多くの県民の共感を呼んだものだ。
選挙戦では共産・社民・生活の野党3党も推薦した。本県における野党系知事として初めての
誕生であった。これから新鮮な目線での県政が期待されていたが、醜聞をおこしてしまった。
○米山知事は「三つの検証」をかかげ、この実現のために「検証総括委員会」(委員長=池内
了総合研究大学院大学名誉教授)を設置(2月)、新潟県独自の検証作業を始めたばかりで あった。同検証は@福島第一原発事故の原因検証、A原発事故が健康と生活に及ぼす影響 の検証、B万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の三点である。
いずれも福島における東京電力原子力発電所の事故経験を踏まえ、原発事故が発生した場
合に住民避難は可能なのか、非難後の生活はどうなるのかなど、県民の不安に応えるもので あった。
そのうえで「三つの検証が終わらなければ再稼動論議はできない」としていた。
○「三つの検証」をかかげる米山知事の施策は、原発再稼働に対するある一定の安心感を県
民にもたらしていたはずである。それが覆った衝撃は大きい。
知事の辞任でこうした課題はどうなるのか。唐突な辞任は、原発再稼働への慎重な姿勢を空
中分解しかねない。それは世界一の原子力発電所の設置県である新潟県民の不安を増すこ とになる。多くの県民の信頼を裏切る行為であった。
後継の知事選挙は六月10日になりそうである。各党は後継候補の擁立に動きだしている。だ
が知事の再出馬は期待できそうもない。知事自身が意欲を失っている。県議会会派の「未来 にいがた」(代表=小山芳元社民党県連代表)も不支持を明言した。共産党も同様である。
○県政のトップである知事は交替する。多くの課題は新しい知事の手にゆだねることになっ
た。
米山知事は記者会見の席上「政治家は公の奉仕者である。理想を示す者である。自分は公
職にある者の重みを理解していなかった。心から謝罪したい」と述べた。
空しさが残る知事の辞任である。
(黄色い風見鶏)
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