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市立中央図書館で「反町文庫展」
歴博の前嶋学芸員が講演


反町茂雄の生誕120年・没後30年を記念して、長岡市が反町から寄贈を受けた郷土資料の
展示が12月4日から長岡市立中央図書館(学校町1)2階美術センターで開催されている。そ
の質と量は驚異的であり見るものを圧倒する。「すごい!」とため息をつきながら見入る人や、
気になる資料を写真に撮る人もいて、展示室には充実した緊張感が満ちていた。
主催は長岡市教育委員会、主管は長岡市立中央図書館。会期は12月19日まで。月曜休館。

貴重な郷土資料約200点を展示  

反町茂雄(1901〜91)は長岡の神田に生まれた。9歳で東京に転居。東京帝国大学を卒業
後古書業界に入り、古書肆弘文荘を開業。店舗を持たず、目録で販売した。国宝・重要文化
財級の古典籍や古文書を発掘・評価し、国内外の研究者や図書館等に納めた。
市立図書館の蔵書充実に協力し、貴重な郷土資料と多額の購入資金の寄附を重ね総数は約
5800点を数える。
長岡市では反町から寄贈を受けた郷土資料により「反町茂雄文庫」を設立。中央図書館で管
理している。このほど反町の生誕120年・没後30年を記念して「反町茂雄文庫展=伝説の古
典籍商がふるさと長岡に贈った郷土資料展=」を開催。約200点を展示する。
 展示品は、足利義輝、羽柴秀吉、上杉謙信・景勝、直江兼続、長岡藩主牧野忠精などの書
状や書簡、『越後長岡城図』、錦絵『佐渡金山』(月岡芳年)、版画『雪の小千谷』(川瀬巴水)
戊辰戦記絵巻物、山古志の闘牛図『越後古志郡二十村闘牛之図』、山本村・荷頃村等地内の
石油坑区図など興味深い資料が一覧できる。与板藩の古文書や書画、『北越雪譜』初編、『塵
壺』(河井継之助の旅日記)とこれを寄付すると記した反町の書簡、『求志洞遺稿』(小林虎三
郎の遺稿集)と虎三郎の書、山本五十六、井上円了、松岡譲、山縣有朋の書などもある。
貴重な資料が展示され、ぜいたくな展覧会だ。
開催にあたり佐藤館長は「反町茂雄は長岡の出身で、古書界の重鎮として長らく仕事をした。
国内外の歴史文化の向上に大きな貢献をされた。長岡の図書館にもたくさんの貴重な資料を
寄贈くださった。今年はその生誕120年・没後30年という節目の年にあたるところから、展覧
会を企画した」と話した。

『越後宝翰集』についても講演

同展では「反町茂雄文庫」の理解を深めるため、反町が関わった古文書群で現在新潟県が所
蔵している『越後宝翰集』(国指定重要文化財、命名は反町)について、新潟県歴史博物館の
前嶋敏専門研究員が講演した。
前嶋研究員は、同宝翰集の古文書群が新潟県にもたらされた来歴と、その内容について話し
た。「これは長尾上杉家の家臣であった武将の家に伝来した鎌倉時代から戦国時代に至る文
書群で、上杉景勝が会津・米沢に移封となった時、家臣とともに移動した。明治時代に上杉家
の歴史をまとめる時に集成し、722通を44巻の巻物とした。それらが昭和の戦中期に古書とし
て売りに出されたのを反町が見つけ、その価値の高さに衝撃を受けたという。ほぼすべてが新
潟県関連の内容であることから、古書収集家であった天理教2代目管長中山正善の助言で、
反町の実弟で実業家の反町十郎にまとめて買い取ってもらった」。
「特定の地域の武士団の文書が一括して残っていることは珍しく、価値があります」と前嶋さん
は話す。「中世の武家文書のあらゆる様式が揃っている。地域の視点で歴史を見ることがで
き、地域が誇る文化財です」と、反町の慧眼を称えた。

原本があるから分かること

宝翰集の文書の多くは阿賀野川以北の家に集中している。例えば色部氏が鎌倉時代初頭に
現在の下越地方のほか、鳥取県米子付近、香川県善通寺付近にも領地を持っていたことが
分かる土地保証書がある。
長岡関連では、『和田義成軍忠状』が興味深い。南北朝時代に北朝方の和田氏が出雲崎で南
朝の宗良親王(後醍醐天皇の皇子)や新田一族と戦ってこれを破り、蔵王堂に到着したことを
記している。
最後に前嶋さんは『上杉輝虎起請文』を紹介した。現在の栃木県佐野の防備を承諾した色部
氏を賞賛するもので、謙信の花押が押されている。
花押に血判が認められることで、文書の内容が正しいことを家臣に誓約する謙信の人間性が
うかがえる。しかし文書の内容そのものより、用紙が大事だという。紙の裏には「多賀大社 牛
玉法印」と木版で刷られ、糊付けの跡や傷がある。つまり部屋に貼っていた神社のお札をはが
し、その裏に書くことで「神に誓って嘘偽りはない」と伝えたと考えられる。
「古文書は、文字だけが分かればいいものではない。原本が残されているから分かることがあ
る」と、前島さんは貴重な古文書が地元に残ったことの意義を語り、そのために尽力した反町
の故郷へのまなざしに感謝する。
「『越後宝翰集』は県民の共有財産です。文化財なので期間を限定して公開しています。ぜひ
県立歴史博物館に足を運んでください」と、前嶋さんは話した。

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