購読の申込みメールでＯＫ。 1か月1851円です。
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』：詳しくはこちら
川柳、俳句、短歌に投稿しませんか：詳しくはこちら
２０１２．４．７掲載
第三者調査委員会が報告書を公表（その１）
昨年、新潟県立精神医療センター（長岡市寿、院長・和知学、旧名称は悠久荘）で、男性（30
代）の入院患者が原因不明の骨折をしていることが判明。事態は院内暴力をうかがわせてい
た。
代）の入院患者が原因不明の骨折をしていることが判明。事態は院内暴力をうかがわせてい
た。
同医療センターでは平成23年９月２日、院長の和知学氏他３名が院内で記者会見を行い事態
の詳細を公表した（昨年９月10日付本紙掲載）。
の詳細を公表した（昨年９月10日付本紙掲載）。
同患者の骨折箇所は10ヶ所を超え、しかもすでに治癒した箇所もあることから、骨折は長期間
にわたって生じていたと思われる異常な状態だった。このため昨年、新潟県病院局は第三者
委員会（委員長・比護隆證弁護士）を立ち上げ調査を行ってきた。
にわたって生じていたと思われる異常な状態だった。このため昨年、新潟県病院局は第三者
委員会（委員長・比護隆證弁護士）を立ち上げ調査を行ってきた。
このほどその調査結果がまとまった。調査は事態の原因に病院の組織風土の問題点を指
摘。県病院局では入院患者を負傷させ、そのような事態に繋がるような組織風土を看過してき
たとして、和知学院長他１名を戒告処分とした。
摘。県病院局では入院患者を負傷させ、そのような事態に繋がるような組織風土を看過してき
たとして、和知学院長他１名を戒告処分とした。
事件の発端
男性看護士３名に殴られた
同医療センターによる平成23年９月２日の記者発表によれば、男性患者は平成13年に入院。
約10年入院しておりこの間外出は無い。同年７月25日、「お腹が痛い」との訴えがあったことか
ら診察したところ、骨折などの症状が判明したもの。ただ、発見時よりもかなり前の古い骨折
のため、ほぼ自然治癒に近い状態になっている。このため現在では骨折の治療は不要の状
態だった。
約10年入院しておりこの間外出は無い。同年７月25日、「お腹が痛い」との訴えがあったことか
ら診察したところ、骨折などの症状が判明したもの。ただ、発見時よりもかなり前の古い骨折
のため、ほぼ自然治癒に近い状態になっている。このため現在では骨折の治療は不要の状
態だった。
同患者は、個室中心の治療体制であったことから、外部での骨折は考えられない。
同医療センターではこの時、骨折などの原因を問診したところ、「殴られた」として看護士３名
（いずれも男性）の名前が出た。この内１名はすでに担当を代わっており、同患者との接点は
なくなっている。このため、患者の言葉をそのまま鵜呑みにもできないと判断して、信憑性の判
断を含めて警察の捜査に任せている。
（いずれも男性）の名前が出た。この内１名はすでに担当を代わっており、同患者との接点は
なくなっている。このため、患者の言葉をそのまま鵜呑みにもできないと判断して、信憑性の判
断を含めて警察の捜査に任せている。
記者会見での発表はおおむね以上の状況を説明していた。
さらに、同医療センターは、精神医療の病院であるため、「入院患者を拘束衣で拘束すること
もある。そのようななかで偶然に生じた可能性もある」とし、責任については終始あいまいな説
明であった。９月２日現在では今後の対応について、明確にはされなかった。
もある。そのようななかで偶然に生じた可能性もある」とし、責任については終始あいまいな説
明であった。９月２日現在では今後の対応について、明確にはされなかった。
県は第三者調査委員会を立ち上げ調査
戒告処分
しかし、事態は極めて異常である。県病院局では同医療センターに今後の対応を任せても原
因や改善は進まず、内部調査では限界があると判断。このままでは実態の解明は十分にはで
きないとして平成23年12月18日、第三者による調査委員会（委員長・比護隆證弁護士）を立ち
上げた。
因や改善は進まず、内部調査では限界があると判断。このままでは実態の解明は十分にはで
きないとして平成23年12月18日、第三者による調査委員会（委員長・比護隆證弁護士）を立ち
上げた。
同調査委員会は比護隆證弁護士を委員長に、病院危機管理専門家（慈恵大学渉外室顧
問）、精神科医療の専門医（群馬県立精神医療センター院長）、精神科看護専門家（神奈川県
立福祉保健大学教授）、患者人権の代表者（新潟県精神障害者家族会連合会理事）が参加
する。
問）、精神科医療の専門医（群馬県立精神医療センター院長）、精神科看護専門家（神奈川県
立福祉保健大学教授）、患者人権の代表者（新潟県精神障害者家族会連合会理事）が参加
する。
調査報告書はこのほどまとまり３月27日、調査結果が公表された。
合わせて同医療センターの院長である和知学氏他１名を戒告処分にした。今後はさらに刑事
告訴を含めて検討するとしている。
告訴を含めて検討するとしている。
管理職の怠慢が見え隠れする
調査委員会では、実名が上がった看護師は９名であるとする。しかし、いずれも加害行為につ
いては９名は認めず、確定できていない。
いては９名は認めず、確定できていない。
報告書は「負傷の原因と時期は特定できず、事実関係は解明できなかった」とし、「やり過ぎと
とらえる行為があることも明らかになった」とする証言や同趣旨の面談結果、文書の回答を列
記する。
とらえる行為があることも明らかになった」とする証言や同趣旨の面談結果、文書の回答を列
記する。
職員による患者に対する加害行為が35件、患者の職員への加害行為が８件、患者同士の加
害行為も14件、あった旨報告されている。
害行為も14件、あった旨報告されている。
こうした事例の集積のなかで、患者に対する配慮の不足、患者に威圧的な男性看護師の存
在、医師・職員の連携不足などの指摘が行われている。
在、医師・職員の連携不足などの指摘が行われている。
このような異常な状況は、調査委員会が行った文書調査の結果浮き上がった問題でもある。
結局調査報告書は、本件のような異常な事態が発生した背景には、職員個人の倫理的な問
題だけではなく、「背景に組織風土の問題がある」と結論付ける。（調査報告書15頁）
題だけではなく、「背景に組織風土の問題がある」と結論付ける。（調査報告書15頁）
和知氏は着任以来10年を経過する。10年の歳月は組織を良化するには十分な時間であった
と思われる。同氏への戒告処分は、このような組織の病弊を改善することができず、いたずら
に歳月を過ごした管理者としての責任を問うたものであろう。
と思われる。同氏への戒告処分は、このような組織の病弊を改善することができず、いたずら
に歳月を過ごした管理者としての責任を問うたものであろう。
当該患者の入院期間と和知氏の在任期間も一致する。暴力に悩まされた患者にとっては悲痛
な時間というべきだろう。
な時間というべきだろう。
（つづく）
関連記事
③第三者委員会設置：県医療センター：２０１１．１２．２７掲載
|
|
